第4話 確信
「ここは始まりの街よ。といってもここは街の外れの大草原だけどね、もしかして迷子なの…?」
聞き覚えのある街の名前だった。
しかし、その名前を聞いただけでは、まだここが日本である可能性を拭えないので質問を重ねることにした。
--だってそんな名前の遊園地?みたいなのありそうじゃん。
「えーと、何県の何処ですか?」
すると彼女は呆れたような表情で俺に言った。
「ケン?剣なら街に売ってるよ?--何処って…さっきも言ったじゃない?ここは始まりの街。初級冒険者ギルドが集まり帝国の中でも商業が発達している街よ。私はその街に向かうためこの草原を通っていたら襲われてる君を見つけたの。」
……あらあら。日本語がペラペラなのに県という区分を知らない。
(……うん。ここ日本じゃないな。)
現在地が日本ではないことがほぼ確定した瞬間だった。そして俺は興味本位でまたまた質問を重ねてしまった。
この質問がまさか、ここが日本でないことを完全に確定させ、この場所が自分の住んでいた世界ではないことまで確定づけることになるとは…いまの俺にはわかるはずもなく…
「その帝国ってのは何ですか?」
……そう問いかけてしまった。
「えっ…。そんなこともわからないの?帝国の名前は、アストミア。東の大陸で最も領土が広く、最も文明が発達している国よ。……けれど最近、真六大魔王が復活して帝国崩壊の危機に陥っているの。私は帝国の命によりこの街の守護を任されたの。」
彼女の言葉は少し寂しげでそれでいて力強かった。
………ん?あれ?その帝国の名前も、その真六大魔王とかいうやつも…。とてもよく聞いたことある名前ですよ…。
(……イヤイヤ、流石にあり得ないだろ。まさかな…うん。これは夢だな。多分気絶してからまだ目が覚めてないんだろう。妙にリアルな夢だったけどそろそろ眼を覚ますか…多分病院で可愛い妹が俺のことを心配そうに見ている頃だろう。)
自分の中で精一杯の言い訳をしながら俺は自分の頬をつねった。
「イテッ。」
(……はい。夢ではありませんでした。ちゃんと痛かったです。--妹よ、すまない…お兄ちゃんすごいところに来ちゃったかも。)
金髪の少女が、心配そうにこちらを見ていたが今はそれどころではなかった。
まるでゲームのキャラクターのような彼女の容姿、凶暴な獣、聞き覚えのある街の名前や帝国の名前、そして真六大魔王の復活。
そうこの世界は、俺がやり続けていた『Grand Fantasy』そのものだったのだから。
(真六大魔王の復活?明日終わるアプデの内容そのものじゃないか…)