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Grand Fatasy  作者: しんしん
3/12

第3話 閃光


「Guaaaaaaaaaaaaaa!!」


 大地が裂けるような巨大生物の咆哮が、本能的な恐怖を奮い立たせた。そして、大地を揺らしながら鋭い形相で近づいてくる。


「おいおいまじかよ。これやばいやつだよな…。」


 多分ここで取るべき最善の行動は“にげる”ことなのだろう。しかし、今まで感じたことがない恐怖が、足を運ぶことを拒む。

 俺は、その場に立ちすくむことしかできなかった。


(あぁ…。死にたくないな。童貞で死ぬとか本当にどうしようもない人生だったな。父さん、母さん、最愛の妹。すみません。俺の子供の姿を見せることはできませんでした。すみません。さようなら…)


 そんな感じで、自分の人生を諦めかけた…



 その時…


 金色の髪が目の前を通り過ぎた。


「『初級剣技一閃(スレイブ)』」



 澄んでいるが力強い声と同時に光り輝く鋭い剣閃が俺の視界に一線を引いた。


「Gugaaaaaaaaaaaa!」


 巨大生物の叫び声が耳に刺さる。同時に、巨大生物から大量の赤黒い血飛沫がまい、大きな音を立てて倒れた。


「スゴイ…」


 非現実的な光景に俺はただ口を開けてみていることしかできなかった。




「大丈夫?----大丈夫そうね。よかった。」


そこには、一人の少女が立っていた。

長くてきめ細かい金髪。顔立ちは整っていて目は綺麗な青、はっきりとした二重。瞳は大きく澄んだいる。小さめの鎧を纏っているが、不思議と違和感はない。逆に、彼女の綺麗な体のラインを強調していいハーモニーとなっている。


「綺麗だ…」


 あまりの美しさに思わず声が出てしまった。


「そうよね。この辺りの草原の光景はとてもきれい。何度見ても飽きないもの。」


 そう言って金髪の少女は、優しい笑みを浮かべ俺の近くに近づいてくる。


(よかった…都合のいい解釈をしてくれたみだ。)


「助けてくれてありがとうございます。---えーと、ここどこですか?」


 俺は約1時間ぶりに、一番聞きたい質問をすることができた……だが、俺はその前に妙な違和感に気付くべきだったのだろう。


見たこともない謎の巨大生物。日本人とは思えない日本語ペラペラの金髪美女。この平和な時代に必要とは思えない細い剣と小さな鎧。金髪少女が放った光り輝く剣閃。これだけ見ても普通は違和感を感じるだろう。

しかし、今の俺にはそんなことを考える余裕はなく、その違和感に気づくのは彼女の返答の後だった…。










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