第2話 転生
辺り一面綺麗な草原が広がっている
風が気持ちいい。空気も上手い。
肌を撫でるような風、一気に吸い込みたくなるような澄んだ空気が漂っている。
「ここどこだよ…」
一時は周りの景色に圧倒されて考えていなかったが時間が経って冷静に今の状況を把握しようと試みる。
(ついさっきまで駅までの道を死にそうになりながら歩いていて……あーーー。気絶したのか……。)
……いやいや、おかしいだろ。なんで気絶したらこんな草原にいるんだよ。普通、病院とかに運ばれていてベットの上で目がさめるはずだろ。何?イジメ!?。夏休み外にほとんど出なかった罰ですか!?えーと、それだったらすみません…。
「よし。取り敢えず人を探そう。」
グダグタ考えるのはやめて今度こそ冷静になる。取り敢えずここがどこなのかを把握したいため人を探すことにした。
それにしても周りは草原以外何もないな。草原の先には山脈が連なっている。こんな場所日本にあるのか…。
そんなことを考えながら人を探して歩き続ける。
もう1時間は歩いただろうか。
「今日はなんでこんなに歩かなきゃいけないんだよ。完全に厄日だな。」
そんなような愚痴をブツブツ言っていると、100メートルくらい先に黒い塊がぼんやりと見えた。
「………なんだあれ?」
(岩かな?いや、動いてるな。猪?うん。外見は猪だ。猪の生息地って山じゃなかったけ?こんな草原にもいるのかよ。知らなかった。)
この草原で目が覚めてから初めての生物だからなのか、無性に近くで見てみたくなってしまい自然と足が猪?側に進んだ。
そして少し歩くとかなりの異変に気付く。
「ちょっと大きすぎませんかね?」
遠くにいたから気づかなかったのかそもそも気づきたくなかったのか、この猪?デカすぎる。
(流石に2メートルもある猪はいないだろ…)
真っ黒な毛皮に包まれ毛の一本一本が風に揺らされている。それに加え、50センチくらいある鋭い2本の牙が太陽に照らされ鋭く光っている。目は赤黒く濁っている。外見のバランスの悪さが、異様な空気を漂わせていて、この巨大生物の周りだけ澄んだ空気が、とても淀んで感じられた。
俺はこの非現実的な光景に見とれることしかできなかった。
--その時。
赤黒く濁った目と俺の目がガッチリとあった。