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Grand Fatasy  作者: しんしん
10/12

第10話 試験開始


巨大樹の森(ビックフォレスト)

 始まりの街から、転移魔法でひとっ飛びで行くことのできる初心者冒険者専用の狩場。あたり一面に高さ10メートルを超える木々が生えている。森の中心には高さ50メートル・直径10メートルはありそうな巨大樹が、自分がこの森の王であると主張せんばかりに根を下ろしている。現にこの巨大樹からは、多量の魔素が出ており、近づけば近づくほど生息する魔物が強くなる(Grand fantasyではそうだった)。




「すごい……。」


 PC画面から見たことがある世界とは全く別物であるのような光景が目の前に広がっている。澄んだ空気、木々の間から差し込む光が神秘的な雰囲気を醸し出しており、思わず口をあけて、見入ってしまった。


「……サ、……バサ、ツバサーーー。……他の人たちみんな行っちゃった……。」


 目の前に広がる光景に見入っていたが、アオの呼び声により視線を落とす。すると他の受験者達が、次々と森の奥へ入っていく姿が見え、今は試験中であることを思い出し我に帰った。


「ごめんごめん、つい見入ってしまった。」


「うん…。この場所……すごい……。けど、今試験中。しっかりする。」


「ごめんなさい……。」


(自分より、3つも年下の短髪銀髪少女に注意されるとは……。)

 少し虚しい気持ちになりながらも、アオの試験合格のために自分もやれることはしないといけないと思い気合いを入れる。


「よし!行くか!」


「……ん。」


 アオからの、生気のない返事にまた、消極的な気持ちになりそうになったが、割り切って他の受験者に追いつくべく走り出す。


(さて、目標はアシッドスライム100体か……。)


 俺はGrand fantasyの経験を思い出しながらアシッドスライムの情報を整理した。


 アシッドスライムは個体数が多く、森全体に生息しているが、森の奥、巨大樹に近づけば近づくほど群れに遭遇する確率が上がる。単体の強さはレベル1でも十分に倒せるレベル。


(目標は、100体とかなり多い数だから、奥で狩るのが定石だけど、奥に行けば行くほど上位の魔物に遭遇する確率も上がるんだよなー、取り敢えず、アオのレベルに合わせて考えるか、レベル5以上なら少し奥に行っても大丈夫だろう。)


「なーー、アオ。今、レベルどのくらいだ?」


「20。」


「まじ?」


「うん。」


(想定していたレベルを遥かに超えていた……。)


「そうか、20か。俺の20倍か。そうか……。

 ……アオ、止まって少し話をしよう。」


 俺が、足を止めると、アオも足を止め不思議そうな顔で俺の顔を見た。


「話って何?」


「俺達昨日会ったばかりでお互いのことほとんど知らないよな?スライムとは言え、やっぱりこれから一緒に戦う仲間なんだからお互いのステータスもある程度知っておいた方がいいと思うんだよ。」


 そう言うと、アオは納得したらしく、下に転がっていた丸太に座った。

そして俺も隣に座り、第2回質問大会が始まった。



 第2回質問大会は、第12問で終わった。


【名前】  アオ

【種族】  人間

【職業】  なし

【レベル】 20

【称号】  なし


【HP】   1240/1240

【MP】 80/80


【攻撃力】 195

【防御力】 105

【魔力】  95

【素早さ】 145

【運】   85


【固有スキル】

 解除

【スキル】

 中級身体強化魔法


 アオの父は元冒険者で度々、村を魔物から守るため周りに住んでいる魔物を狩リに行っていた。そしてアオは時々、それについて行き魔物狩りを手伝っていたらしい。


(強いな。魔力は低めだが、素早さと攻撃力が高い。バリバリの近接戦闘型だな。しかも、中級の身体強化魔法まで覚えてる。このステータスなら、巨大樹の近くまで行っても問題ないな。あと、問題があるとしたら、俺か……。)


 この質問大会は、第一回と違い俺の質問に対し一方的にアオが答えるのではなく、アオが答えた後に俺も、自分自身のステータスを言っていく形式で行われた。


 俺のステータスを知ったアオは、立ち上がり座っている俺の前に仁王立ちし、ドヤ顔で見下ろしている。


(そんなに嬉しいか。俺よりレベルが高いのが……。)


 そんなアオを無視し俺はもう一度これからの方針を考える。

 いくらGrand fantasyに関する知識があっても、レベル1では流石に森の奥に行くのは危険すぎる。それに、アオの試験で俺が足手まといになるのは申し訳ない……。



「ツバサは、私が、守る。」


 漫画の主人公が言いそうなセリフ第3位には入りそうなセリフが聞こえ、俺は顔を上げた。視線の先には、ドヤ顔で手を自分の腰に当てているアオが、立っていて、そのわざとらしさに、俺は自分の消極的な考えが馬鹿らしく感じさせられ、立ち上がった。


「よし!それじゃーー、奥まで行ってみるか!」


「ん!」


 さっきと違いアオは自信ありげな返事をして、頷いた。


 そして俺達は森の奥へ走り出した。




 絶望への道を……。



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