【エルフ転生編】エルフのフィンとチェンジリングⅢ
時刻は正午を過ぎ、ほとんどのエルフは午前の仕事を済ませ帰ってきている。
荷ほどきを済ませたフィンとネルは早めに昼食を済ませ、ネルの挨拶回りをしていた。
「うーんまぁ大体想像通りだったけど、大人は塩対応って感じだったね~」
「はい……でも!一年後には皆さんに認めてもらえているよう頑張ります!」
「うわぁ~いい子すぎる……尊み~」
「えっと……?」
「なんでもないヨ!ハハハ!」
ついつい心の声が出ていた。どうも歳を取ると感傷的になってしまうみたいだ。
「そういえば、私達ぐらいの子供の姿が見えませんが何処か別の場所に居るんでしょうか?」
「あ~そっか、もうこんな時間だもんね」
「?」
「だいたい昼ご飯食べて一息ついたらエルフの子供は学び舎に行くんだよ~」
「はっ!前任者の方から聞いています!学び舎、なるほど。この時間からなのですね……!」
ネルが胸のあたりに拳を作りやたらと気合を入れている。一体前に来たダークエルフ君から何を聞いていたんだ……
「ええと、一応補足すると、午前中は大人に混じって狩りや山菜積みの手伝いなんかをしてノウハウを教えてもらって、
昼食取って午後からは算術や文字、魔法もやるけどだいたい座学がメインって感じになるかなぁ」
「なるほど……!」
「それじゃあいこっか」
説明をしながらやや大きな建物の中に入る。中には二十人前後の子供と教師役の大人が一人居た。
ネルの自己紹介の為に時間を割くように話は通してあるが子供にまでは伝わっていなかったようで若干のざわつきがある。
「あれってダークエルフ?」
「怒るとすぐに手を出すらしいよ…」
「初めて見た!」
「なんか私たちと全然見た目が違うね!」
大人のダークエルフに対する思想に多少影響されているようだが、半数以上の子供は純粋な反応をしているようだ。
それ以外も興味を持ってくれているだけ大人よりはまだまし、といった感じだ。
「フィン、ご苦労でしたね。それではダークエルフの君、自己紹介を」
座学を教えている男性がネルに教壇に立つように促す。ネルは短く「はい」と答え皆の前に立つ。一呼吸置きよし、と口を開く。
「ネルルースです、外縁のダークエルフの里から来ました。歳は十四歳です。
他種族故に皆様が戸惑う事や、ご迷惑をおかけする事があるでしょうが一年間どうぞよろしくお願いします」
力強く、それでいて聞きほれてしまうような艶やかな声だった。自然と拍手が起こる。
深くお辞儀をしてから嬉しそうな足取りで僕が座っている席の横に帰って来る。
「上手く言えました!なんとかやっていけそうな気がします!」
「すごい良かったと思うよ~完璧完璧~!」
ああ、ほとんどの子供達が大人の先入観を持っていなくて良かった――と安心していた矢先、
「一つ、よろしいかしら!」
キンキンと耳に響くような高音が特徴的な、顔にそばかすのあるエルフ女が手を挙げて注目を集める。
うげー。めんどくさいのが騒ぎ出したなぁ
「……あの方は?」
ネルが小声で尋ねる。
「姉さんの次に勉強が出来る人って感じだけど性格はお察しって感じかな~
あと貧乳でそばかすがあって糸目であんまり僕の好みじゃないかな、貧乳だしね。」
「ちょっとそこ!!聞こえていますわよ!!胸は関係ないでしょう?!!名前とか私の美しさとか!もっとそういうのを伝えなさいな!!!」
おっといけね、聞こえていたようだ、それにしてもちゃんと伝えろ、か。確かに初対面だしなぁ
「え~と、名前……名前はね……」
「ちょっとォ!?」
「ごめんくしゃみでそう」
「きぃいいいぃぃいい!」
「あ~えとね、あの人はアグラリエルって言って、うん、多分17歳ぐらい。めんどくさい人だよ、以上」
「あ、ありがとうございます。あ、あの、アグラリエルさん、それで私に何か?」
「フン!では失礼して!……ダークエルフ流の自己紹介とやらは、名前と年齢以外は何も話されないのですか?もっと他にも話すべきことがあるのではなくてぇ?」
「もうその下り終わった感じだったし良くない~?」
「シャラップ!!フィン、あなたは黙っていなさい!話が長ったらしくなりますわ!!」
アグラリエルが憤慨しながらこちらに鬼の形相を向ける。
「……それで、ネルルースさん、だったかしら?貴女の事、もっと皆さんも知りたいでしょうし
私、それに打ってつけのアイディアを思い付きましたの!!」
話しきったアグラリエルはニタリ、と子供特有の純粋で邪悪な笑顔を浮かばせる。
うーん、めんどくせぇ感じだ!




