とっても大好きフィンえもん
「フィンくん売って資金は十分、色んなものが揃えられそうやな!」
「ッスねー!流石フィンさんッス!」
「いや、あの。字面が酷すぎるしそもそも僕、売り物じゃないんだけど?全然なんにも流石じゃあないんだけど???」
フィンを売った次の日、子供たちに必要な物を揃える為にヴェルミーリョ達3人と孤児達は再び集まった――
――――のだが。
「くさッ!!いや、クッッッッサ!キミら臭いな!?!?」
「ひ、ひどいよにーちゃん!!!」
やはり貧民街で孤児という生い立ちのせいなのか、子供たちがすごく……臭うのだ。
「それにしたって臭すぎるやろ!なんとかならへんのか!!」
「そ、そんなこと言われたってどうしようもないよ!貧民街の出だからって、街の水辺で水浴びするのも禁じられてたし……」
本人たちも気にしていた事を言われたせいか、口を揃えて物悲しげに反論する。
「かーそんじゃあ打つ手無しなんか!?このままじゃ汚いガキを連れて歩かなアカンくなるやん!やっと顔も広くなって来たってのにー!もーーなんとかならんのかフィンくん!!」
「え、なんで僕にふるんだよ〜!?グリムっちだっているじゃん!!?」
「サバイバルしてる時に自作した石鹸ぐらいならあるッスけど……」
「そんな地味な方法やなくてさー!フィンくんならもっとバーッてなんとか出来るやろ!!なんでも出来るウフフな魔法でなんとかしてや!」
「そんなの○太くんみたいな頼り方されても…………いやまぁ、なんとかなるけども。」
「なんとかなるんかい!!」
「多分ね〜、と。よ〜し子供たち〜みんなで手をつないで輪になってね〜。グリムっち、その石鹸ちょうだい……じゃあいくぞ〜!『バブル・ボルテックス!!』」
そう言いフィンは左手で魔法を起動して温かいお湯の渦を作り出し、孤児たちを服ごと洗い流す。
「おおおおーーなんか流されてくー!おもしろーい!!!」
途中でグリムからもらった石鹸をスキルで増やし、投げ入れていく。
「あわあわだーーいいにおいー!!」
孤児たちがきゃっきゃと声を上げているうちに、フィンは魔法の渦に浄化の魔法を重ねてがけしていく。
「最後に火と風の魔法で温風で乾かして……と。よし、綺麗になった。」
「ええやん!めっちゃ綺麗になっとるやんけ!!」
「「おねーちゃんありがとー!!」」
孤児たちも大喜びである。
そして3人は孤児たちを連れ大通りへ――
――お次は待望の住む家、である。




