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【エルフ転生編】エルフのフィンとチェンジリングⅠ

子替えの儀式(チェンジリング)」とは両種族間で定められた、お互いの現状や種族間での考え方の違いなどを学び取るためのもので

九年に一度、それぞれの村の代表となる子供一人を交換し一年間を過ごすという十年毎に行われる習わしである。


ダークエルフの村では分からないがこちらの村では


「悪い子は子替えの儀式(チェンジリング)に連れてくぞ」、「家が嫌ならダークエルフの子供になるか?」

だのと子供を怖がらせるような言い回しをされており、実際に連れていかれ一年を過ごしたエルフの子供はひどくおとなしくなるそうだ。


今年の子供の代表はフィンの姉のララノアが選ばれていた。ちなみに理由は村長の娘という理由からだ。

特に悪いことをしている訳ではない、彼女は模範的エルフの女性である。





子替えの儀式(チェンジリング)」の当日、


「病気には気を付けるのよ」


「あまり粗相をしないようにな」


「いっぱい友達出来るといいね~元気でね姉さん。」


「ありがとうお父様お母さま、フィンは…なんというか、覚えておきなさいよ。」


父と母には感謝を、フィンには捨て台詞を吐きララノアは一年間世話になるダークエルフの下に歩いていく。

それに伴うようにして小柄なダークエルフの少女がこちらに歩いてくる。


身の丈は150cmほど、真ん中分けの長い銀髪の髪がきれいな少女だ。歳は自分と同じぐらいであろうか。

目が釣り目で大きく小悪魔的な雰囲気を醸し出している。そして歳の割に不釣り合いに胸がデカい。羨ましい。


「ネルルースと申します、ネルとお呼びください。一年間よろしくお願いいたします。」


やや緊張感のある凛とした声で言葉を述べる。うわぁ可愛い声してるな~


「これはご丁寧に、ネルルースさん、よろしくね。」


「可能な限り不自由をさせないようにしよう、必要なものがあったら言いなさい。」


それに対して両親二人の対応は固い。固いというか、壁を張っているようにも見える。

母は紹介された略称で呼ぶのを避けているし父親に至っては名前も呼ばない始末だ。


一方姉の方は、初対面にも関わらずそれなりにフレンドリーに接してもらっているようだ。

肩透かしを食らったような顔をしている姉が少し面白い。


ダークエルフはエルフよりも他種族に対して開放的だと聞いたことがあるが正にその通りだと思った。


自分もフレンドリーなスタンスの方が好きだ。


それに倣いたいし、相手が好意を持って接してくれているのに自分がマイナスで返すのはフェアじゃあない。

僕は出来るだけの笑顔で彼女の言葉に答える。


「次女のフィンドゥリルって言います~こっちも気軽にフィンって呼んでくれて大丈夫だよ、よろしくねネルちゃん」


「は、はい!よろしくお願いします!」


やや固いがひとまずは緊張感が抜けた声で返事を返してくれたことに嬉しさを感じつつ、フィンはこれから先の一年をより良いものにしようと誓うのだった。

毎話オムニバス形式で書いていくとテンポが悪いのでそれぞれキリの良いところまで書き切っていく感じで行こうと思います。

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