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平和的解決




ヴェルミーリョ達3人が暗殺者の魔の手から冒険者ギルドまで逃げ込んでから、2日ほど経った。




正午、ホーキンスの家にて。

ずずず、とお茶を啜ったヴェルミーリョが「よし」と椅子から立ち上がると部屋にいる全員に語りかける。



「それじゃあワイに殺し屋を雇ったことに対する、損害賠償の会議を始めめたいと思いまーす」



「は〜い」



「うっす」



「…………おう……」



「………………」



ヴェルミーリョの声に、商人達のまとめ役であるホーキンスが沈痛な面持ちで答えた。


それ以上に悲惨な顔付きをしていたのは、ホーキンスが座っている側の床に正座させられたヴェルミーリョの暗殺を企てたパブロ達だ。




……あの後すぐ、暗殺を企てたパブロ達はホーキンスと他の商人たちによって取り押さえた。


暗殺者との契約も、監禁されていた部屋に暗殺者からの置手紙があり、


「契約は報酬未払いの為解消とする。私怨も無い為こちらからはもう手は出さない。」と書いてあったので、ひとまずヴェルミーリョの暗殺騒ぎは解決した、という事になった。



しかし、だからといって「はいそうですか」と、お咎め無しで皆が日常に戻っていいわけではない。



普通に考えて、暗殺を企てた者たちは憲兵に突き出し裁判にかけられ死刑、ないしは奴隷落ちとなる訳だが、

そこでホーキンスが待ったをかけたのだ。



どうにか話し合いで解決できないかと、ヴェルミーリョ達に懇願してきたのだ。



虫が良すぎるとキレるフィン。


普段は温厚でも、流石にしかめっ面になるグリム。


しかし当の被害者であるヴェルミーリョは「ふむ」と少し考え込み、



「まぁ、ええよ。ひとまず話すだけだしな」



と差し障りもない顔で了承してしまったのだ。


ヴェルミーリョのあっけらかんとした態度に、

「君、本当に死ぬとこだったんだぞ?!分かってるのか!!?」と泣き喚くフィンをなだめるのには、なかなかの時間を要した。


結局、主にフィンが感情的になってしまうので、2日ほど時間を置いて話し合おうという運びとなった。




そうして今に至る。



「それじゃまず、ワイらにどんな譲歩をしてもらいたいんか教えてもらおうかな!」



ヴェルミーリョが爽やかな笑顔を向け、ホーキンスたちを品定めする。




さて、どっから崩していこうか。


……ここまでお膳立てしたったんや。


お前ら、これからワイらの金の為に奴隷のように働いてもらうからな。




…………怒っていない訳が、無いのだ。


実際痛い思いをした訳でも無く、仲間たちが助けてくれたからこそ、身体的にも精神的にもダメージが少なかっただけで。


それでもヴェルミーリョは思う。


フィンが涙を浮かべ感情的になるほど自分の心配をしてくれた事に、

普段滅多に怒らないグリムが不機嫌になるほど、この事件に不快感を持っている事。


並大抵の事ではない。


自分が負うべき負の部分を仲間が背負ってくれたことに、感謝と申し訳なさと、怒りを覚える。



そして、それに加えてもう一つ、本当に自分が腹を立ててる事もある。



お前らはやっちゃいけない事をやった。


許さねぇ。



ヴェルミーリョの爽やかな笑顔の下に隠れた感情に、ホーキンス達はまだ、気づかない。




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