薬草集めと現状把握
ギルドでひと悶着あったが晴れて副業、冒険者の肩書きを手に入れた三人。
フィンを売って得た潤沢な資産はあれど、だからといって働かなくていいわけではない。
ついでに言うとフィンも再び売られたくはない。
そうゆう訳でFランクでも出来る薬草集めのクエストを受注し街の外までやって来た。
草原に出た当たりで、フィンが会話を切り出す。
「昨日おとといと酒場で一応軽めに手に入れたスキルとかそうゆう話したけどさ、
僕たちお互い何ができて何ができないか、まだちゃんと把握出来てないよね?」
「たしかに」
「せやなぁ、いい機会だし実際スキル使ってるとことか見てみたいし現状把握しよか」
「話が早くて助けるよ〜」
これから三人で冒険や商売、色んな事をしていく予定だ。
その上で各自が出来る事、出来ない事の確認を取るのは重要な事なのだ。
ヴェルミーリョが二人に向き直り一番手を名乗り出る。
「それじゃあまずワイからいくわ。
もらったスキルは【過程をすっ飛ばして結果を手に入れる】やな、
『歩く』過程をすっ飛ばして『移動した』結果を手に入れ一瞬で移動したりできる。」
試しにとスキルを使ったヴェルミーリョが、5メートル先ほどに瞬間移動した。
「お〜すごいじゃん!」
「なんでもできそうッスねー!」
「と思うじゃん?デメリットもあってなんでもは出来ないんやなこれが。
……すっとばした結果を手に入れた瞬間、すっとばしたもののフィードバックを食らう。これがデメリットでな、
今みたいな場合は歩いた労力が一気に身体に返ってくるわけや。」
そう言ってヴェルミーリョは、上がった息を整えるために必要以上に肩を上下させ、後からくるフィードバックを分かりやすく示す。
「移動ならせいぜい15メートル先にぶっ飛ぶぐらいが限界、
戦闘することを仮定してフィードバック考えるなら5〜10メートル先が実用的って感じ。
もし1キロ先とかに無理にぶっ飛んだらひきつけ起こして死ぬかもしれん。」
「うわぁ結構リスキーだね〜」
「それでもすごい能力だと思うッスけど……」
ちなみに、とヴェルミーリョが付け加える。
「自分以外の生き物には使われへん。
つまり『相手を殴る』過程をすっ飛ばして『殴られた相手』って結果を手に入れるっていう闇討ちコンボはでけへんな。
……だからワイとしては生き物以外に使う方がおもろいこと出来ると思っとる。
例えばパン生地を『醗酵』させる過程をすっ飛ばして『醗酵させた生地』って結果を得るとかそうゆう使い方な」
「つまりイカをスルメに変えたりできるのか!いいじゃんいいじゃん!」
「いいッスねー夢がある……!」
ヴェルミーリョの癖のあるスキルに二人がそれぞれに反応する。
「……ん?あのさ、気になったんだけどスキルは一日何回でも使えたりするの?
僕のは回数制とかMP消費みたいな感じなんだけど」
「んー体感やけど自分に対してスキル使うときはいくらでも、って感じで、
無機物に使う場合は一日につき24時間分って感じやな」
「ということは10年単位のワインの熟成とかはできない感じか〜
それでもすごい色々できそうだけど」
「せやな、
ま、いまんとこ自分で把握してるんはこのへんまでって感じや!
それでも出来そうな事はいっぱい思いつくけどな!w
というわけで次はどっちがプレゼンする??w」
ヴェルミーリョの次に手を上げたのは、グリムだった。




