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冒険者になろうⅢ



「あ〜これは美味しいですな〜!」



大皿で出てきた肉の盛り合わせを一口食べたフィンが、これみよがしに二人に感想を述べる。



「かー!人の金で食う飯は美味いかー?」



「めっちゃ美味しそうですね……」



ヴェルミーリョとグリムの羨望の眼差しを向けられたフィンは、


ちょっと可哀想だなぁ、それにみんなで食べた方が美味しいはず……と思い、おずおずと二人に皿を差し出す。



「も、も〜!キミたちも食べていいに決まってるだろ〜!」



「流石はフィンくん!じゃ遠慮なくw」



「いただきまッス!」



「も〜調子いいんだから!……まぁ、いっか〜!」



なんだかんだ三人でワイワイと食事していると、



「ちょっといいかな」



受付を済ませた件の世間知らず男がこちらに話しかけてきた。



「は?良くないが??」



「すいません、食事中なので」



ヴェルミーリョとグリムの反応に男は苛立った声で、



「お前らみたいなモブに言ってるんじゃない。その横にいる可愛い顔した女の子に声を掛けてるんだ」



と返す。

イラっとしたヴェルミーリョとグリムだったが、

隣にいたフィンがゆらりと男と二人のの間に立ち会話の流れを切った。



「僕になんか用ですか?」



笑顔で受け答えするフィンに、



「おお、声も可愛いな。お前、俺の仲間にしてやろうか?さっきの見てたろ?

俺の仲間になればこれから先いい思いさせてやるぜ?」



男はまるで世界が自分を中心に回っているかのような態度でフィンをパーティに誘う。

対してフィンは笑顔を絶やさず



「いいです、良い思いは既に間に合ってるんで。


それに見てましたけど貴方ケチでお金なさそうだし、初対面の女性にガッつくとか女関係にルーズそうだし、仲間になる以前にまず視界に入ってほしくないです」



と、男の発言をばっさりと切り捨てた。



「なんだとこいつ!ちょっと可愛いからって調子に乗りやがって!」



男はおもむろに右手を振り上げたが

それが打ち下ろされる事はなく、その前にフィンが風魔法をぶっぱなした。

 

まるで最初からそうすると決めていたかのように、だ。



「〜〜〜〜ッ?!!?!!!」



男は声にならない悲鳴を上げ、扉から外に向かってぶっ飛ばされていった。



「ふん」



フィンは何事もなかったかのように座席に戻り肉を黙々と食べ始めた。



「容赦ないッスね……」



「めっちゃキレとるやん」



「…………別に。

あんな奴よかヴェルさんのがお金稼ぎ上手いだろうし、

グリムっちのが努力家で真面目だし、だから二人と居るほうが楽しいもん。

……あんなの、蹴って当たり前だし」



「フィンさん……!」



「なんや?デレ期か??」



「うっさいな〜〜!」



そこまで言いかけフィンは口をつぐむ。


「友達バカにされたら怒るに決まってんじゃん」


小声でそう呟き、赤面した顔を隠すようにしながら肉を頬張った。

それを見た二人は、



「まっ金稼ぐんは任しとけって!

プランだけはいくらでもあるからな、もっと色々やったろうや」



「そうッスね!俺も知識ギルドで勉強して必ずお二人のお役に立てるように頑張るッス!!」



笑顔でフィンに語り掛け、フィンと同じく肉の皿に齧り付いた。



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