そして集いし(星)屑たちⅣ
「……と、言う訳でおつかれ!ワイらの再開にカンパーイ!!」
「…………」
「か、かんぱーい……」
ヴェルミーリョが勢いよく乾杯の音頭を取るが、フィンの怒りのオーラがその勢いを圧し殺す。
「ごめんて……」
ヴェルミーリョが本当に申し訳なさそうに謝るがそれに対してフィンはう〜〜っ、と唸っている。
そして二人の様子にグリムはおどおどしている。
再開した三人は再び酒を飲み交わそうとと言うことで、街の酒場に戻ってきたのだ。
ほんの三時間ほど前の事だが、
奴隷商の馬車の前にグリムが現れてから、色々あったのだ。
馬車に追いついたヴェルミーリョがスキンヘッドの一人と戦うグリムを見て
「はぁ……はぁ……え!なんで魔族なんておるん?!思ってたんと違う!!」
と叫び、グリムもまた、
「相乗り頼んでるだけなのに何で襲われてるんスか?!ちょっ!!思ってたのと違うッス!!」
と叫び、フィンも、
「せい!!!……ってあれ?……思ってたのと違う…………」
この機を逃しては終わりだと、
商人と自分を守っているもう一人のスキンヘッドの横腹に、渾身のパンチを繰り出し逃げようとしたのだが、
思いの外スキンヘッドは見掛け倒しだったようで
「ぐえええ!」と腹をくの字に曲げて気絶してしまったのだ。
そしてそれらを見ていた奴隷商人も、
「ええ……思ってたのと違うんですが……」
目の前の状況に呆然と呟いた。
そして敢え無く、魔法の腕輪を外したフィンの魔法でぶっとばされていったのだった。
そうゆう訳でフィンたち三人は再びの邂逅を果たし、大都市アラーラの酒場に戻ってきた。
ちなみに一人で入国できなかったグリムついては、
悪魔の見た目はフィンの変身魔法で隠匿し、ひとまずヴェルミーリョの奴隷という扱いで再び門番に金を握らせ通して貰った。
実に話のわかる門番だった。
閑話休題。
「い、いやぁ―、それにしても!お二人と再開できて良かったッスよー!!」
二人のいたたまれない空気にグリムが下手くそなフォローを入れる。
「ホントだよね、15年ぶりに会ったのにいきなり人の事売り飛ばすとかありえないよね?」
フィンが半目でヴェルミーリョを睨む。
グリムのフォローはどうやら火に油だったようだ。
「ごめんて……」
長いことしょぼくれた顔で縮こまるヴェルミーリョに、フィンもようやく溜飲がある程度下がったのか、
少し機嫌を直し口を開く。
「……それじゃ今回はヴェルさんのやらかしって事で、僕を売ったお金は僕が5、グリムっちが3でヴェルさんが2ね?」
ヴェルミーリョは驚いた。
正直自分の取り分が残るとは思っていなかったからだ。
自分とフィンで3対7の分前だったのがグリムとフィンにすげ変わるのものだと思っていた。
実際3割がグリムに流れているのですげ変わっているのに変わりない。
が、こんなやらかしをした自分の為に、被害者であるフィンが自身の取り分からこちらの金を捻出してくれるとは……。
「……それで頼むわ、ありがとうな」
15年ぶりに再開した友の優しさにヴェルミーリョは心の涙を流した。
「それじゃあ、……ん」
決まりが悪そうにフィンが手を差し出す。
ああ、こいつはそうゆう奴だ。
優しい奴だから、多分内心では
「ちょっと怒りすぎたかな」なんて思っているんだろう。
だからきっと、これは仲直りの儀式なのだ。
フィンが差し出した手をヴェルミーリョも握り返し、自然と二人共笑顔を取り戻す。
二人の笑顔にグリムもほっと息をついた。
「……ところで、結局僕っていくらで売れたの?」
「ああ、それな。金貨2000枚、日本円で2000万円ぐらいやな!」
「あははは!なるほどね〜そりゃ高いわ〜〜」
「せやろー?いやーホンマにボロい商売やった!次があるならもっかいやりたいぐらいやわーw」
「「あははははははははは!!」」
そうしてフィンはヴェルミーリョをぶん殴った。
ヴェルミーリョは心の涙と一緒に、鼻血を撒き散らしてぶっとんだ。
そして、グリムは高くても友達は売らないようにしようと、深く心に誓うのだった。




