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そして集いし(星)屑たち


世界地図のおおよそ中心に位置する大都市、アラーラ。




――――冒険者ギルドに併設された酒場にて。



「「おっつかれー!」」



ガキンと、酒の入ったグラスがぶつかり合う音がした。




フィンとヴェルミーリョは無事再開を果たしていた。


転生する前、三人はこちらの世界でも会おうとそれとなく約束していたのだ。

酔わせた転生担当官、ミーアにそれとなく現地の情報を教えてもらい集合場所も指定していた。



「そんじゃあ15年後に地図の真ん中、アラーラって街の一番真ん中に近い酒場で!そんでなんかあった時の伝言は冒険者ギルドとかでどやろ?」



「了解っす!」



「お〜け〜、それじゃ15年後に!シャボ○ディ諸島で会お〜!!」





――というわけで再開は叶ったのだ。



「ブンブンさんはこの場に居ないけど、ひとまずエノさんと会えてよかったよ〜」



「まぁ約束の仕方が結構アバウトやったしなぁー。ま、ギルドの掲示板に伝言は残したし死んでなけりゃあその内会えるやろ、

とはいえホンマにひっさしぶりやなぁぷちとま君ーw今はフィンドゥリルて名前でええんやっけ?」



「フィンでいいよ〜エノさんはヴェルミーリョ、だっけ?言いにくいからヴェルさんでいい?」



「好きに呼んでくれてええぞwフィンくーん、いや……フィンちゃん?…………フィンくんちゃんのがええか?ww」



「か〜!前世の性別知ってる奴にわざわざちゃん付けされんの、なんか腹立つな〜〜!!」



ヴェルミーリョの軽口にフィンも笑いを交えつつフランクに返す。


ああ、懐かしい。こうゆうの。


エルフの里じゃお硬い奴らばかりでこうゆうトークが出来ず辟易としていたのだ。



「そういやここ来たのはいつ頃やったん?」



「つい昨日かな〜結構急いできたんだけどね」



「こっちは2週前やなー色々見て回ったわw」



「……どうせヴェルさんの事だからテンプレの如く奴隷市場とか行ったんじゃないの〜?」



「お?行ったが??なんやコイツエスパーか??ww」



「15年経っても変わんないね〜…………そんで奴隷市場、可愛い幼女とか居たの?」



「居らんかったわー人生ゲロキツイわ」



「草〜」



「15年ぶりの草に草やわ」



「ふふっ」



「へへへ」



ああ楽しい、楽しいなぁ。

手持ちは余り無いが折角の友人との再開だ。

今日はちょっと贅沢しちゃうぞ!


フィンが追加の酒を頼み、ヴェルミーリョも同じく料理を頼む。


話が弾む。

今まで何をしてきただとか、どんな場所に生まれただとか、この世界の事とか、金が無いとか。


テーブルの料理を片付けお腹も膨れた頃、ヴェルミーリョは少し気になっていた事を聞き出した。



「つーかエルフに転生したってマジなん?この世界じゃ隠居してるみたいなんって聞いたけどホンマにおんねんな。

つか耳とかどうなっとんの??」



「あ〜それね〜」



エルフの特徴は人の目を引くため、現在フィンは変身魔法でその特徴を隠しているのだ。


胸元から木の枝で編まれたペンダントを見せる。



「村の人達が編んでくれたコレで、僕の魔力が続く限り自動的に見た目が変わる魔法がかかってるんだよ〜」



「ほーなるほどなぁー……つーことは実は顔はもっとブサイクなんか?w」



「失礼な〜!ほぼそのままの超絶美少女なんだぞ僕は!耳の長さと目の色と髪の色がちょっと違うぐらいさ」



エルフの特徴に加えて、始祖として覚醒したフィンの見た目は目立ちすぎる。

オッドアイやうっすらと光り輝いている髪とか、すっかりアバンギャルドな見た目になってしまったのでそこも隠しているのだ。



「はえー便利やなー、魔法」



「そうだよ便利だよ〜見た目だって変えれるんだから」



「それってワイの見た目も変えれるん?」



「一応僕も変身魔法は覚えてるからね〜」



そう言うとヴェルミーリョは「おっ!」という顔をしてフィンに顔を近づける。



「ならワイの見た目も変えてみてやw」



「いいよ〜、ほい」



手をかざし手慣れた手付きで呪文を唱えるフィン。


するとヴェルミーリョの見た目が一瞬でガタイの良い戦士のようになった。



「おー、すげーーww」



「すげ〜でしょ〜」



「これなら……」



「これなら〜?」



すっ、と立ったヴェルミーリョになにをするんだろうとフィンは顔を向けたが、そこに立っているはずのヴェルミーリョが消える。



【過程をすっ飛ばして結果を手に入れる能力】を発動しヴェルミーリョはフィンの背後を取る。


そして――



「男女平等チョップッッッ!!!!!」



思いっきり当て身を食らわせた。


意識を飛ばされ倒れ込むフィンを抱え、介抱するフリをしながら酒場を出る。



「よーしそれじゃあ、売りに行くかーw」



観光がてらに寄った奴隷市場で、ヴェルミーリョは聞いたのだ。



エルフは高く売れる、と。







………………その頃、大都市アラーラの門から少しの場所にて。




「入れてもらえなかった……」



悪魔に転生した青年、グリムは魔族であるため当然のように入門を拒否され途方に暮れていた。



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