【エルフ編Ⅱ】力と代償
身体が熱い。
手足が千切れそうだ
痛みで内側からはじけてしまいそう。
意識を、保っていられない。
身体の内と外から
火で炙るように、
電気を流すように、
腐らせるように、
分裂させるように、
そんな痛みが身体中に走る。
激痛に耐えきれず意識が飛んでも、
新たな痛みが再びフィンを覚醒させる。
何度も何度も、波のようにそれがやってくる。
――――このまま死ぬかもしれない。
何度か意識が戻った後、そんな思考が脳裏に浮かびかける。
しかし、
「だっ……からッ!!なッ…………んだ!!!!」
血だらけの拳を握りしめる。
平気で他人の心を踏みにじる者への怒り、
その理不尽に対して無力な自分への怒りが弱気な感情を掻き消す。
『――――神界との接続、完了しました。』
不意に何かが内側から聞こえた気がした。
『――スキルが――と完全固着し進化――――が可能となりました。
引き続き身体の――を続行しま――――』
五月蝿い!!
そんなものはどうでもいいと、感情を爆発させる。
痛みが増し身体がさらに悲鳴を上げる。
意識が再び落ちては、覚醒を繰り返す。
何かがずっと喋っているがもう何も聞き取れやしない。
そうしてそれがしばらく続いた後、
ゆっくりと、フィンは起き上がった。
最早痛みは感じなかった。
なんとなくだが、自身の変化を感じ取れる。
今なら出来ると言わんばかりに胸に手を当て、スキルを使う。
そして――
先程までとは比べ物にならない程の力で、再び腕ごと腕輪を壁に叩きつける。
結果、バキンッ!と鈍い音と共に腕輪が粉々に砕け散った。
「……」
血だらけの腕に回復魔法をかける。
不思議とマナが体中から湧いてくる。
「……待ってなよ」
おもむろに右手を空にかざし、そして――




