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異世界転生チートは倍率が高かった。

目が覚める。あれ、ちゃんと家帰れたっけか。ん?


「……知らない天井だ。」

とぷちとまは呟いてみる。辺りを見回すと白基調の応接室のような間取りの部屋にいた。

というか本当に知らない天井の部屋にいる時この台詞ってちゃんと出て来るんだね



「はーw知らない天井言うやんwぷちとまくーんww」


横には昨日一緒に飲んでいた快活そうな青年、エノが座っていた。


「あれっ、エノさんじゃん~」


どうしたのさ、と尋ねるとエノさんは持っていたパンフレットのようなものをこちらに寄越した。


「……異世界転生のススメ?なにこれ。」


「異世界転生するためのガイドブック的な?奴や。これから君らには異世界を転生してもらうってことみたいや。」


「ええ~めっちゃ絶対に笑っちゃいけない奴みたいなこと言うじゃん~」


左隣を見るとブンブンさんが真面目な顔でパンフレットを読みふけっている


「ええ~……」


こいつら、順応性たけ~!


ひとまず話を聞くと俺が寝ている間に担当官?のような女性がやって来て時間までにその資料を熟読するように言われたらしい。


こうゆう資料を読んで~みたいな手合のものはあまり得意ではないし、時間も差し迫っているようなので先に読んでいた二人にかいつまんで説明してもらった。


要は異世界転生するにあたっての注意事項が書かれており同意確認などを踏まえた上で書類の記入をしておけ、という事らしい。もちろん記入用紙もパンフにも挟んであった。


エノさん曰く、その中でも重要なところはスキルの希望欄だと言う。


「13ページ、ここの転生するに際しての入手可能なスキル一覧ってのがあるやろ?

 ここな、さっきブンブン君と確認してたんやけど、見る人によって見え方が違うみたいでな。

 個人ごとに手に入れられるスキルが個別で違うみたいなんや。」


「へぇ~……」


「そんでな、一番後ろに引っ付いてる転生希望調査の用紙に欲しいスキルを第一~第三希望まで記入するんや。」


「進路希望みたいな感じだ……」


「まぁこんなん言うて嘘くさいけど、ちょっとオモロいし少し乗っかってみるぐらいの気持ちで書いたったらええねんw適当やwテキトーw」


そうだね~と返して自分も適当に空欄を埋めていく。


「スキルはどうしたの?」


「ワイは1番目が勝負事に勝ったら相手を意のままに操る事が出来る、

 そんで2番目が自分を変身させ短時間変身した者と同じ能力を得る、

 3番目が行動による過程をすっ飛ばして結果だけを手に入れる能力って奴にしたわ。ぷちとまくんは?」


「僕は1番目が絵に描いたものを使役できる能力、

 2番目が手に触れた物を増やす能力、

 3番目が対象を内側から引きずりだす能力かな。ぶんぶんさんは?」


「俺は第1志望が本で読んだものを取り出す能力、

 2番目が全魔法使用可ってとこまでは決まってるんですけど、

 残りがまだちょっと考えてる途中です…!」


「えっ2番め強杉内?ww」


「ブンブンさんすんげぇスキル書いてあるね~」


「うーんやっぱりこれ1番目にするべきですかね?」


ああでもないこうでもないと3人で適当に談笑しながら用紙を書いていく作業は過ぎ去った学生時代のようで懐かしい気持ちになる。


一番筆の遅かったブンブンさんが用紙をほぼ埋め終わったタイミングで、最初にやってきた担当官のような女性がやって来た。


「……用紙は書き終わりましたか?」


「あ、あと少しだけ待ってください!!」


転生先が男性が良いか女性が良いかまたは両性かだとか、種族はどういったものを希望しているか、

記憶は持ち越したいかなどのチェック欄を埋めているブンブンさんを見た担当官が少しイラついたのか眉を寄せながら口を開く。


「はぁ、ひとまずここまで書かれているのなら残りははこれからの面談で埋めていくことにしましょう。用紙を回収しますね。」


なんだかこうゆう光景、中高生の時によく見たなぁ、なんて思った。というか本当に進路調査みたいでちょっと笑ってしまいそうだ。


おまけに面談て、ん?


「……面談?」


「ええ、これからあなた方は異世界転生されます。ですが、本当に貴方方に私達が神々のギフトとしてスキルやその他の恩恵を与えるに足るかの判断をしなければなりません。」


「「「えっっ」」」


それと、と女性が付け加える。


「――不適格と判断された場合、記憶の引継ぎ、チェックされているご希望も含め何の能力も持たずに生まれ変わって頂くことになるので、まぁ…平凡か、ないしはすぐに終わる一生を送ることになりますね。」


「「「えっっ……」」」


かくして、進路調査の3者面談ならぬ4者面談、悪く言えば集団面接のようなものが始まるのだった。

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