【エルフ転生編】エルフのフィンと森で狩りⅠ
「さて、それじゃあこれからどうしようか」
狩りが始まり皆それぞれ森の中を探索して行く中、
周りとは外れた道を歩きながらネルに何か作戦が無いか聞いてみる。
「そうですね、さっきお話した通りあのお兄さんが弓の名手であれば……無難な狩場をフィンちゃんに教えて貰って狩りをしているだけじゃまず勝てないと思います。」
「ん〜そうだね、自称ではあるけど実際あいつは若いのの中では一番だよ、ネルちゃんの言うとおり無難な方法じゃ勝つのは難しいね〜……ってことで、とりあえず話の流れ的に大物を狙う、ってことでいい感じかな?」
「それがいいと思います。そういえばフィンちゃん、弓はもたないのですか?」
「あ〜……」
フィンは少しバツの悪い顔をしながら ネルに向き直る。
「実は弓、あんまり得意じゃなくて……」
フィンの言葉にネルは唖然とする。
そうだよね、エルフは弓で狩猟するのが基本だもんね。エルフと言えば弓、弓と言えばエルフだもんね。
く、くぅ〜視線が痛い!!そんな目で見ないで!
分かってるよ?
弓を使わないエルフなんて
なんにも描かない漫画家ぐらい意味のない奴って感じだもんね?
でもそんなこと無いんだよ!
俺は新時代のエルフなんだよ!ちゃんと有能だって証明するから!!
ネルの視線に冷や汗をかきながらフィンは言葉を続ける。
「……弓での狩猟は、鹿や猪クラスだと急所以外は決定打に欠けるし、
逃げられる事のが多い、探す労力と実際捕まえられるかのリスクが合ってないんだよね。上手くて腕力、つまり威力が出せる人ならそれを覆せるけど、僕は女で力は無いし精密さもあと一歩足りてない。だから向いてる他の方法で狩りをしてるって訳。」
「それは一体……」
「これだよ」
目的地に着いたことを確認し、足元の仕掛けを解いていく、
簡素な、堀った穴に餌を吊り下げ獲物が掛かると蓋をされる。
兎などに使う罠だ。
ちなみに中身も兎、この世界ではファーラビットと言われる無害な魔物だった。
「エルフ族が……罠で、狩りを?」
ネルはさらに唖然としていた。
その呆けた顔ににこっと笑い答えた
「地味だし括り付ける餌代は馬鹿にならないだろうし、弓を使わないなんてプライドの高いエルフじゃ誰もやらないだろうけどね。向いてる……そうだね、そうゆう能力持ちだから、僕はやってるよ」
「能力持ち……!フィンちゃん、貴女は――」
「続きは歩きながら話そ?狩場の説明とか、出来る事の擦り合わせとかしながらね」
そう笑いかけ次の罠の位置へと歩き出す。
そうだ、やるからには勝たなくては――!




