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土曜日の夜

 家に帰って、私はベッドにごろんと横たわる。

 どうしよう。

 また会おうって約束しちゃった。

 あぁ、もう。

 恥ずかしいけど嬉しい。

 こんなときめいたの、久しぶりだ。

 なんだか高校生みたい。

 どうしよう。

 連絡する?

 ゴールデンウィークの予定、教えてくれるの待つ?

 考えがぐるぐるとめぐる。

 しつこいと思われたら嫌だし、でも連絡なかったらどうしよう?

 考えた結果、今日の感想を送ることにした。


『今日は私のみたい映画に付き合ってくれてありがとう』


 そこで、手が止まってしまう。

 あとどうしよう。なんて書こう。

 あぁ、もう、ドキドキする。

 どうしよう。ゴールデンウィークの予定、聞いちゃう?

 やだ、もう、手が震える。

 悩みまくった末、何も付け足さず、私は送信ボタンをおした。

 バイトあるって言ってたし、すぐには返事来ないだろうな。

 思った通り既読はつかない。

 見ないようにしよう。

 そうしよう。

 私はベッドから起き上がりテレビをつけた。

 でも気になっちゃう。

 スマホ、気になって仕方ない。


 テレビを見ながら、思わずチラチラ見てしまう。

 お酒のんでこのドキドキを誤魔化そうと、私は冷蔵庫から缶ビールをだした。

 ビールを飲んでも、やっぱり気になって仕方ない。

 テレビの内容はほぼ頭に入ってこない。

 夜の10時を回った頃、スマホがメッセージの受信を告げる。

 私はガシッとスマホをつかみ、ロックを解除してメッセージを見た。


『こちらこそ、変なこと言って付き合わせてすみませんでした。

 俺みたいな年下、迷惑じゃなかったですか?』


 なんて書いてある。

 迷惑なんてあるわけない。

 私はメッセージをうち、送信ボタンをおした。


『迷惑なんて。

 私こそパーカー、本当に助かりました。あのままじゃ外歩けなかったし』


『迷惑じゃないならよかったです。

 ゴールデンウィークですけど、4/30(月)と5/3(木)はバイトもないので空いてます』


『友達と遊ぶとかないの?』


『みんなバイトで時間合わないんですよ』


 そうなんだ。

 大学生ならそんなものかな。


『だから2日とも会えますよ』


 とメッセージがきて、私の心臓は大きく音を立てた。

 2日とも?

 いいの?

 でも何しよう。

 何しよう……

 考えていると、また、メッセージがくる。


『2日ともは迷惑ですか?』


 なんて書いてくるから、私は慌てて、


『どっちも暇! 大丈夫!』


 と返事をする。

 いや、それも切ない話なんだけど。今は何も予定いれなくてよかったと思う。


『じゃあ、車出すからショッピングモール行かない?』


 ショッピングモールならゲームセンターもあるし妥当かなと思いそう言ってみる。


『いいんですか?』


 と返事が来て、私は、


『もちろん』


 と返した。


『じゃあ、30日はそれで。もう1日は俺が行きたいところでいいですか?』


『えぇ、もちろん』


 そのあと、待ち合わせ場所と時間を決めて、メッセージのやり取りは終了した。

 それでわかったのだけれど、彼の最寄り駅は私の最寄り駅の1つ隣らしい。

 田舎だから一駅は大分離れているけれど。

 なので、彼が私の最寄り駅まで出てくることになった。


 あーもう、ドキドキする。


「楽しみだな……」


 と呟いてスマホを見つめる。

 年下の男の子とお出掛けなんて。どうしよう私。

 何着ていこう?


 約束の日まで、私は毎日が楽しくなった。

 毎朝電車で会えるかなって考えて駅に向かう。

 そして私は火曜日に、彼に会うことができた。


「おはようございます、那実さん」


 降車駅で会った彼は、微笑んで言った。


「おはよう、浦川君」


 名前で呼ばれるなんて、それだけで私はドキドキしてしまう。


「パンツスーツ、かっこいいですね」


 駅のホームから並んで歩きながら、浦川君は言った。


「そう?

 ほんとはスカートがいいんだけど、ほら、あれ以来なんか怖くて」


「あぁ、そうですよね。

 警察にはいったんですよね。犯人、見つかりますかね」


 その言葉に、私は肩をすくめた。

 まあ、正直期待していない。

 満員電車だし。

 見つけるのは至難の業だろう。


「この間のワイドパンツも可愛かったですけど」


 何て言い、彼は笑った。

 やばい、ドキドキが止まらない。

 なんで年下の子にこんなときめいてるんだろう。

 まさか私……

 いいや、さすがに早すぎでしょ。

 ホームから改札口にでて、あっという間に楽しい時間は終わる。

 私と彼では行き先が全く違うもの。


 浦川君は、


「それじゃあ、また」


 と言って手を振った。


「またね」


 と私は答えて彼に背を向ける。


 どうしよう。

 私、4つも下の子に恋してる?

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