第7話 沼田会議(後編)
日間総合38位、歴史ジャンル1位って。正直驚き、おののいています。
アクセス数、ブックマーク数、評価など「なろう」で書いていて、これまで見たことない数字に驚き、そして全ての皆さんに感謝で胸いっぱいです。
頑張ります!
信勝は意を決し口を開いた。
「我らは北に向かう。その場所は奥州です。上杉は考えておりません。また数年は甲州、信州の地を踏むことは無いと思っておる」
「それは何故」
「おそらくは旧武田領の分配でもめて、さらに昌幸様も独立を狙っているかと思います。他にも同じような考えの方がいると思います。そんな時に武田の者がいたら多くの方は邪魔にし、一部の方は利用されようとするでしょう」
信幸、信繁は唾を飲み込んだ。ある意味考えていた事を言い当てられたに近かったのだから。
「では奥州に当てはあるのかね」
昌幸の言葉に今度は俺がこわばった。正直、当ては無いが行こうと思っている大名はいる。ただ、明かしたくない。それはタケルとして史実を知ってるからこそ選べる選択だと思ってる。
「当てはありません。ただ、武田の血を残す環境はあると思います。自分は武田の血を残す戦いをするだけです。それより真田家の未来を気にかけて下さい」
天目山で俺が死ななかった事で、間違いなく史実にズレは生じてくる。真田家が生き残れたのも織田家が本能寺の変で事実上崩壊して甲信地方が空白地帯になった隙を突けた結果でもある。俺が生き残った事がどう歴史が動くか正直読めるはずもない。
「うむ。確かに勝頼様からは『領下を通っていった時見逃してくれればそれだけで良い』と言葉を貰ったが、武田家の家臣としてそれだけでは申し訳が立たない。何か協力させて欲しい」
俺は言葉通り受け取って良いか戸惑った。戦国を代表する知恵者であり策士である真田昌幸。確かに武田家への忠義もあるだろうが、一方で信勝を利用したいという思いも間違いなくあるであろう。ウィンウィンの条件を出せれば成功だ。
「では、真田家より腕の立つ忍びを付けて奥州までの道中警護をお願いしたい。奥州でしかるべき相手の下で仕官した後は、わしの無事を伝えて貰い以後は真田領と奥州を定期的に行き来し情報交換をしたい」
「それなら格好の者がおる。佐助、信勝様の道中警護に付け」
「はっ」
話がまとまったのを見計らって、信幸が信勝と昌恒に包みを差し出した。
「山伏の服装にございます。羽州三山に向かう格好として問題ないかと思います」
先程、店に入って買う前に城に連れてこられたから、手に入れられホッとした。
「ありがたく受け取ろう。では真田家の武運を祈っておる」
「ありがたきお言葉。信勝様の無事をお祈り致します」
「いや、佐助殿をお借りできたので大丈夫であろう。信幸、信繁も達者で」
こうして沼田城を後にし、山伏姿の2人は奥州へ再び歩き始めた。真田家から付けられた佐助も彼らから付かず離れずの距離をもって、それに同行していった。
察しの良い方は「あの大名かな」と予想できていると思いますが、お口にチャックでお願いします♪
そういえば、勝頼が亡くなったあとの甲斐国はどうなったのでしょうか。次の更新ではそのあたりを