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第24話 初陣その前に

これだけお休みしてた作品なのに日間歴史ランキングベスト10以内ってビックリしました。

日和らないように精進します。

信長が転生者であった事に動揺はあったが、立ち止まる事を時は許してはくれない。

暫くは織田家は現状維持を基本として家中の動揺を抑えて信忠中心の指導体制を立て直す為に時間を要するだろう。

しかし、信勝が前世で知ってる歴史とは決定的な違いがある。信忠が生きていて家中が割れていないため強力な家臣団がほぼ無傷であること。

織田家が今後、西国制覇か東国制覇、または両面作戦に踏み出すかは読めないが両面作戦を仕掛けることも十分可能な戦力が存在した。


伊達として生きる道は、奥州を伊達・最上連合で束ねた上で織田と対等に近い交渉を行える立場になることである。


そのためにも小競り合い続く奥州を短期間でまとめることが優先である。その第一歩として竺丸や信勝の初陣が必要だった。

「政宗、金山城(現在:宮城県丸森町)を攻めるぞ」

輝宗の命が下った。

「この戦いは成実と政道そして片倉景綱、武田信勝らで落としてみせよ。戦目付として亘理元宗を付ける」

「はっ」

これは明らかに近い将来の家督継承が確定した政宗を支える若き家臣団による戦いを意味する。輝宗らは米沢を固めて戦いの行方を見届ける形となる。


そしてこの間に竺丸の元服が行われた。既に家督が政宗と決まり、家臣も一つになったあとであった為、何事もなく粛々とおこなわれ、伊達政道を名乗った。

政道の側近となった信勝は無事に元服がなった事に心を撫で下ろすと共に、初陣への準備を加速させていった。


「失礼するぞ」

信勝と土屋昌恒がこの日米沢城下に訪れた。

「旗は出来たか」


武田信勝として出陣するに当たって最も悩んだのが旗印である。小さな小競り合いでも忍びが見ている可能性は極めて高い。そこに甲州征伐によって滅んだはずの『武田菱』や『風林火山』がたなびいた時にその影響力は極めて高い。

戦では相手を怯ませる事にもなるし、同時に大将首と同等以上の人物がいるとして標的になる可能性も高い。

戦いで無事に生き残った場合、旗印とその戦いは瞬く間に忍びによって各地の大名の耳にも入るだろう。織田信忠や徳川家康がどう出るか読めない。

一方で甲斐・信濃で新たな領主とそりが合わなかったり、または武田に未だに忠義を持つ者が奥州に来る可能性も多分にある。


メリットとデメリットを天秤にとり昌恒と何度も協議をした結果として堂々と掲げることにした。

「疾如風、徐如林、侵掠如火、不動如山」は元々、信玄が快川和尚に書いてもらった軍旗が元となってる。そのため信勝は虎哉和尚に新たに書いてもらった。


また『武田菱』や『花菱』の旗も作っていたが、信勝が唯一使わないことにしたのは『諏訪明神旗』である。

信長が命を落とした諏訪大社の旗を掲げる事で織田家を刺激し、勝手に武田家黒幕説でもでっち上げられた場合、非常に厄介な事になる。


戦に向けて訓練は続いていた。『武田菱』を掲げる以上騎馬隊の整備は最重要であった。また信勝が政宗に捧げた策でも騎馬隊の質の向上は必須条件であった。


「相手の首を取ろうとするな。相手を切り裂け、相手に恐怖を与えることを第一に考えろ」

首を取り功を上げる考えを敢えて否定し、組織で組織を倒す考えを植え付けた。

しかし、今まで侍として戦っていた彼らにとって考えを変えるのは大変だ。


信勝のもう一つの献策は常備軍の創設だった。

信長以前の戦国武将は足軽が徴兵しやすい農閑期である6月~8月、10月が戦の時期であった。また戦国時代は地球史っでは小氷河期にあたり冬に戦いは起こしづらかった。奥州ではなおさらだ。


そこで信勝は農家の次男や三男などの中から運動神経に優れたものを選抜して、金で雇う常備軍とした。これだと4月~10月頃まで軍を動かすことが出来て通年で鍛える事ができるので精鋭部隊が出来る。

まさに信長が行った事を奥州でやってみたのである。

また武士の矜持なども無いので、これまでの常識に囚われることのない新生・武田騎馬隊を作ろうとしていた。


そして、初陣の時がやってきた。

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