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第19話 揺れる米沢城(その4)

鬼庭左月斎と白石宗実、そしてその家臣に護られる形で政宗と共に信勝は米沢城に入城した。


「して、貴殿が武田家当主の武田信勝殿か」

「いかにも、武田信勝にございます。おめおめと生き恥を晒しております」


信勝は上座に座る伊達輝宗に対し、自虐的な発言をしつつもその瞳はまっすぐに輝宗を見据えた。

その姿勢は、先程まで偽物ではないかと疑っていた者達の疑念を徐々に晴らしていった。


「信勝殿は伊達家に仕官すると土屋昌恒殿から聞いたが相違無いか」

「相違ございません。私ならびに昌恒を伊達家の家臣団の末席に加えて頂ければ幸いにございます」


輝宗は家臣の信勝を認める空気を感じ、決断し信勝と昌恒に申し伝えた。

「特別扱いはしないが宜しいか」

「我々は浪人でございます。一武将として戦いの場を頂ければ、それに優る喜びはございません」

「私も信勝様と同意見にございます」


焦点は信勝の処遇に移った。

政宗が自身付きの片倉小十郎、伊達成実に続く第3の者として信勝を推挙し、次期当主がそれを望むならという空気に包まれる中だった。

「殿、意見がございます」

甲高い女性の声が響いた。


義姫(よし)、今は大事な評定の最中じゃ、奥に帰っておれ」

「いえ、そこにおる武田信勝殿を竺丸(じくまる)付きにして頂きたい」


伊達家では正式には政宗が次期当主と確定している状況ではなかった。義姫が推す次男竺丸を支持するものも最上家に近いものからはあった。

それがあるからこそ、輝宗も信勝を政宗に付けて次期当主候補が政宗に一本化する最後の一手にしたかった。


「殿、竺丸様付きも良きお考えかと存じます」

思わぬところから賛同の意見があがった。輝宗の視線の先にいたのは、遠藤基信であった。基信は輝宗の信任が最も強い家臣といっても良かった。

「信勝殿を竺丸様に付けて、竺丸様にはより奥州ではなくこの国を深く知って頂き、伊達家を外交面で支える方となって頂きたく思います。外から来た信勝殿はその片腕として良き人材かと思います」


基信はあえて信勝を竺丸に付けることで、竺丸に役目を与え当主候補から降りさせようとした。

「我もそれを望みます。是非、信勝殿を我につけて欲しい」

いつの間にか義姫の後ろにいた竺丸が声を上げた。


「竺丸、何を言ってるのですか。そうなると伊達の次期当主は政宗に」

「母上、我は兄上を支え伊達家がさらに勢力広げるにはどうすれば良いかを考えておりました。我は武の才能は高く無く、また学力も兄を凌ぐものは無い。そう思ってたところに答えが今降りてきたのです。信勝殿を我に下さい」

深々と頭を下げる竺丸。その横で色々な感情が渦巻いた義姫は大股で奥に帰っていった。


「では信勝は、竺丸付きとする一同よいな」

「はっ!」


こうして武田信勝は伊達家次男竺丸付きとして新たな日々が始まることになった。



1年・・・すいません。

これからも遅筆すぎると思いますが完走するようにします

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