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第13話 問答

スイマセン!転職してから最初の年度末なのでここまで忙しいとは想定外でした。ペースどうにかします。

信勝らは米沢に向かっていた。羽州三山に近くなると山伏の姿も多く見掛けるようになり、信勝らを見ても手を合わせたり、托鉢を頂いたりと、一方で怪訝な目をむける者はほぼ皆無だった。


「さすが羽州三山信仰が広がる場所だから、山伏に誰も驚きもしませんな」

「確かに。ただマサも覚えておいてくれ。一方で警戒心が薄いということは密偵や忍びにとっても山伏姿で情報を集めるのが容易いという事だからな」


実際、戦国時代では山伏姿での移動は容易で忍びの常套手段の一つであった。それもあって山伏姿を信勝も選んだ。


伊達領内と思われる場所に踏み入れ暫く行くと老婆から托鉢を受けた。

「若いのに羽州三山で修行ですか。良い心がけですね。老い先短い、婆さんの分も修行しておくれ」

「ありがとうございます。実は羽州三山に向かう前に虎哉住職に教えを請いたいと思って米沢に向かっていきたいのですが・・・」

「そしたら資福寺に行けばいい。ただ先日お寺に行ったときに住職に会ったが、顔色悪かったの。何でも、住職の師匠が亡くなられたそうで酷く憔悴されてたの」

「そうなのですが。お会いできるかどうか分かりませんが向かってみます」


●●


「師匠、武田が滅んだ今、天下は織田信長のものになるのでしょうか」

青年が壮年の僧侶に問いかける。


「確かに1番近いのが信長でしょう。東は甲斐、信濃から西は因幡までを治めて京も押さえているわけですから最も有力と言って良いでしょう」

「という事は信長の天下で決まりか」

「私はその結論は時期尚早だと思います。彼の才能や先見の明は素晴らしいです。ただ、人を信じる事。赦す事が出来ないので、身内もまた敵になりうるでしょうな」

「裏切りがあると言うのか」

「あくまでも可能性です」

「では、天下を獲る可能性がある人物を全部あげてみよ」

「これから若に伝えるのはあくまでも拙僧の勝手な考えです」


僧侶は各武将の分析を始めた。

「信長に何かがあれば、順当に考えれば織田信忠であろう。ただ安定志向が強く野心に欠ける。天下が織田に確定した時点なら安定した織田の世を創れるが不安定な状況下では微妙だ。北条氏政は現時点では織田と比較的友好な状況だが、織田家に異変があれば動くであろう。ただし、領土の広さに対して家臣の質がやや劣り京に攻め上るにはいささか不利。その逆が徳川家康で家臣の質は高くとも領土が狭く、また京に上るには北条への抑えも必要で戦力が不十分。上杉景勝は未だ越後・佐渡を抑えきれておらず天下取りは厳しい。西国の長宗我部、大友、島津なども四国や九州を抑えきれてるとは言い難く天下取りは厳しい」


若者は尋ねる。

「やはり毛利か」

「確かに毛利は強かった。しかし、毛利輝元はいま羽柴秀吉と対峙して厳しい情勢だ。足利義昭を保護していても京に上るのは容易では無い」

「ということは誰もいない」

「いえ、可能性が高いのは織田家の家臣でしょうな。智将の羽柴秀吉、猛将の柴田勝家、御所との繋がりも深い明智光秀あたりかと思います」


若者はため息をついた。

「我が伊達家はどうすべきかの。虎哉師匠。それを教えて頂きたく寺に来たのじゃ」

虎哉宗乙(こさいそういつ)は答えた。

「どこかの下につき豪族として生きるのも良し。奥州を統一し中央を制した者と五分(ごぶ)で対峙出来るようにするかは、政宗様次第です」


独眼竜は満足げにうなづいた。

ようやく重要人物である独眼竜が登場しました。閑話1~2話挟んで初対面の予定です

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