腐った人間たち
ゾンビたちがゆっくりと進軍し始めた。
彼らはどれも、ゲートとの戦闘で命を失った被害者たちだ。
しかしながら、異世界の転生者が来た時点で残っていたものはかなりの強者の身である。
つまり、彼らはゾンビとはいえ、通常のゴブリンや、オークがかなう個体ではないのだ。
御子柴の出した命令は通常であれば間違っていなかった。
しかし、
「スロウ様!!」
「なんだ!」
「進軍を一度止めよとのことです。それと、この石を」
「これは?」
「ボスが有事の際に使えと」
「よくわからないが・・・・とにかく、ボスのいうことだ。頼りになるものであろう」
「伝令!!」
「なんだ!」
「前方部隊が町の方角から進軍する死んだ人間を発見」
「死んだ人間?どういうことだ」
「そうとしか表現できないそうです」
「そうか。ボスに至急伝えるのだ!」
「承知!」
「しかし、弱ったな。ボスが指示を出される前に前方の部隊が衝突してしまう可能性があるな」
現在、オーク3体 ゴブリン7体の計10体で部隊を組ませている。
前方に40部隊 後方に60部隊設置し、プロテクを中心とした前方部隊、中間にスロウとセンが待機、後方に残りの長とボスが待機している。
ボスのところに伝令がいって、戻ってくるまでに前方部隊と敵が衝突してしまう可能性がある。
「そういえば、ボスから預かったあの・・・・」
魔方陣が書かれた石をプロテクは見つめた。
「とにかく、やるしかないな」
スロウは石をもって、前方へ向かった。