相続
「ん?」
あれ、ここはどこだ?
えーと・・・・・ああ。炎龍の洞窟か。
なんか大変なことになっちゃったな。
炎龍の記憶をこの本に写して・・・と本を見ると文字が消えていた。
それでも記憶が記録されているのはわかる。
能力の力だろうか?
取り敢えず、洞窟にあるものをやるとか言ってたよな。
なにがあるのかなぁ。
洞窟を見渡すと、今いる巨大な空間の先に大きな洞窟の続きがあった。
「まぁ・・・・・見て回るか。ここにいてもしょうがないしな」と立ち上がり、洞窟を進んでいく。
「それにしても、この光る石は何だろう。」
煌く石が洞窟中にある為、全然暗くない。
進んでいくと小さな扉が4つ。
左の扉を開けてみるとそこには本がぎっしりとつまった棚が大量に置いてある広い空間があった。
見渡すかぎり、本だらけだ。
「すげぇ」
王国の図書館の何倍もある。
いくらだよ、これ。
「こちらには、世界中のの書物が収納してあります」
「わっ」
後ろには白い髪の美女が立っていた。
「失礼しました。私はあなた様のお世話をさせていただきます、シルフと申します。
貴方様がこの洞窟の権利を継承したということなので、私は貴方様に仕えさせて頂きます。」
ぺこりとシルフは頭を下げた。
「えっと、君は僕の使用人になってくれるってこと?」
「はい、その通りでございます。旦那様。 これからのご予定をお聞かせいただけますか?」
「旦那様って・・・。まぁ、いいや。えっとこれからの予定だよね。取り敢えずこの洞窟のを探索しようと思ってるんだけど」
コミュ障発動・・・とばかりに目を伏せたくなるが、何とか顔を見て話す。
「そうですか。では、ご案内します。どうぞこちらへ。」
こいつ、信頼してもいいのだろうか・・・。
まぁ、警戒しながらいこう。そもそも、こんな洞窟に来れる生物もそういないだろうし
「こちらは図書室となっておりまして、先ほど申し上げた通り、世界中の書物が保管されております」
「へぇ。どうやって手に入れたんだ?」
「前の旦那様が、暇だから買ってこいと。
私が集めました」
「買ってくるって?君はエルフ・・だよね?
王国には人間と許可をもらったドワーフしかはいれないはずだけど・・。」
「マジック」
シルフがパチンと指を鳴らす。
するとシルフを青い光が包み、人間の女になった。
「このように変化して買ってまいりました」
「変化って・・・・。
でも、本を買ったって言ってたけど。流石にこれは・・・・」
本一つ30万の世界で、これだけ買ったらいくらになるやら。
「ああ。それですか。次の部屋が宝物庫です。恐らく納得されるとおもいますよ」
図書室の次の部屋は金貨や、宝石に溢れた驚愕の空間だった。
「これは・・・俺の給料何ヶ月分だろう」
「そうですね。多分世界の財の5%くらいにはなるんじゃないでしょうか?」
想像してほしい。
東京ドームの何倍もの空間に金貨や宝石がぎっちりと山のように溢れているのだ。
「これってしかも今の金貨じゃないよね」
「はい。この洞窟の中で暮らし始めたのは2000年前くらいだそうですから」
「はぁ、なるほど。凄いな」
「次が武器庫です。まいりましょう。」
「あ、はい。」
武器庫にはありとあらゆる武器が揃えられていた。
「あの龍、自分では使えねぇくせに」
「なんでも、自分と戦った勇者とかの武器を取っておいたそうですよ。たまに変化で人間になって、魔物狩ってましたけど」
凄いな。
それにしても・・・
「なんというか・・・。凄いのをもらってしまったな」
「では、次の部屋に。食料庫兼厨房です。」
中に入ると棚にいくつもの食材が並んでいる。
ガラスの曇った棚に手を当てるとひんやりと冷たかった。
「それは冷凍する魔方陣のおかげでサラダとかを冷やしたり、果物を凍らしたりできる魔法具なんですよ」
「へぇ。」
「まぁ、ここの食材は腐らないんですけどね。冷やした方が美味しいものもあるので、便利ですよ。」
「そうなんだ。なんか、お腹すいてきたなぁー。」
「では、夕食にしましょうか。好きな食材を持ってきていただけますか?」
「ああ」
もちろん料理はとても美味かった。