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村長の正体

川をもう少し下ると木々が少なくなり、平野になってきて、そこから十分ほど歩くと村があった。



畑が広がり、その中心にある街を抜けて、中央にある村を目指す。


川から水を引いてあるようで、米や、野菜を栽培して生活しているようだ。


ただ、気になったのは畑が荒れていたことである。


大地は前の世界では田舎出身で、夏や、秋になると畑を手伝うために祖父や祖母の家に行っていたのだが、どう見てもまともな知識のある奴が収穫したようには見えなかった。


畑はグチャグチャで荒らされたとしか思えず、何だかあったのだと確信する。



「どうした?畑がきになるのか?」



リーダー格の男が尋ねる。


「ああ。これはお前らがやったのか?」


一瞬男達の雰囲気に憤りを感じる。


「やっぱり何かあったんだな。あとで聞かせてくれ。」


男達に囲まれながら村に入る。


村で気になったのは女がいないことだ。


男ばかりである。


「おい。村長に旅人を入れることを伝えてこい。

あと、山でとったもんしまってこい。」



「おう。リヒト、こいつの見張り頼むわ。」


男達が走っていく。



「悪いが、ここで少し待っててくれ。

村の掟で村長の許可なしで旅人は入れられないんだ」


リヒトと呼ばれたリーダー格の男が振り返る。

「ああ。」


「そういや、名前聞いてなかったな。」


「月矢だ。」


「そうか。俺はリヒトだ。お前も仲間を攫われたんだったな。」


「攫われた?」


シルフが攫われるなんてそうそうあるとは思えない。


いくら弱っていても声をあげるくらい出来るだろう。


「魔物が現れてな。オークらしいんだが、前回のゲートとやらで、軍が殲滅を仕損なったらしい。」


「嘘だろ?じゃ、女がいないのは?」


リヒトが拳を握る。


「ああ。クソが。あいつらのせいでアンは「旅の方はどこだ?」



話の途中だったが初老の男が話しかけてくる。


「村長。この方だ。俺たちと同じく、仲間を攫われたらしい。話が聞く代わりに泊めさせてやろうと思う。」


「そうか。旅の方。大したもてなしはできないが、ゆっくりして言ってくれ。」


ニコニコしながら村長と呼ばれた老人が頭を下げて帰っていく。








「ちょっと待て。」









「なんだ?」


訝しげに村長と呼ばれた男が振り返る。


「リヒト。村長は元魔術師か何かか?」



「いや?それがどうした?」


村の男達が戻ってくる。


いつの間にか、俺と村長を囲んで円になっていた。


「あんたの魔力は大きすぎる。本当に人間か?」


村長の顔が固まる。




「何言ってんだよ!こいつは俺らが昔から世話になった村長だぞ!」



男達が怒気をはらんだ声をあげる。



「じゃあ、すり替わっている。お前はなんだ?」



「おい、お前いい加減に」



リヒトが固まる。


そして村の男達の声も止まった。



村長の顔がグネグネと動き出したからだ。


「バレちゃうなんてねぇ。

まぁ、いいや。殺す気だったし。」



「お前は誰だ?」



形が定まり、中性的な少年の顔に変わる。



「僕はオール。魔将の一人だよ」



周りが驚きの声をあげて後ずさる。



「嘘だろ?村長は・・・村長はどうした?」



「あいつ?この体だよ?」



「は?」


「うん!子供と女の人の死体は家に捨ててあるよ!」



「てめぇぇ!」


リヒト達が殴りかかる。



「やめろ!そいつはやばい!」


リヒトの腕を掴む。



「な?はなせ!」


リヒトが無理やり払い、少し遅れて飛びかかる。



「《フラガラック》」



黒い穴が現れ、そこから何かが飛び出し、リヒトに向かっていく。



「うわっ!」


「バカ!」


キィィン


グラムを抜き、何かを跳ね返す。



ウゥン



鉄の揺れる音を立てながらオールとなのる少年の周りを旋回する。



「あーあー。せっかくいい人形だったのにバレちゃったよ。まぁ、いいか。」



「なんだその剣は?」


さっき黒い穴から出てきたものは重厚な鉄出てきた剣だった。


「《フラガラック》。僕のお気に入りの剣の一つだね。君のお手並み拝見といこうかな!」



ウィィン


剣が少年の手に収まり、少年が力を込めると赤い魔力が立ち上り、剣に伝わっていく。


「魔法剣か?」


グラムを構える。



「そんなところ!」


フラガラックを構えた少年が地面を蹴る。



剣と剣がぶつかり、火花が散る。


キィィン


お互い後ろに飛び、今度は月矢が少年に切りかかる。


しかし、信じられない速さで少年が剣を振るい、弾かれる。


剣戟につぐ剣戟。


2人の周りの時間だけが加速していくような感覚。



「はっ!」



思いっきりグラムを振るい、距離を取る。


「ふぅ。なかなかやるね。」


汗ひとつかいていない少年に対して月矢は汗がダラダラと垂れ、体から蒸気が立ち上っている。


「それなら、これはどう?」



少年が魔力を剣に込めて空中に投げる。


「何を?」


「《フラガラック》、やっちゃえ!」


ウィィン


剣が空中から発射され、大地を襲う。


キィン


グラムを斜めに振り抜き、跳ね返す。


しかし、剣は再び月矢を襲い、加速しながら襲い続けた。


「あっはははは!結構楽しいでしょ!」


剣がほおを掠める。




フラガラックが少年の横に戻る。



月矢がほおを抑える。



ニヤリと少年が笑う。


「この剣毒塗ってあるんだよね。バイバイ!」



「なんだと??」



月矢が膝がカクカクと痙攣する。


ズサ。


剣が手から落ち、月矢は倒れたのだった。



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