昨今のパクリ調査・その1
その2の予定は今のところありません。
最近、巷に『パクリ』呼ばれる物が出回るようになってきた。
それは中二病の主人公を題材とした小説の題名だけを真似た物や、中には有名な小説の内容を真似た悪質な物もあると聞く。
そういう怪しい様々な『パクリ』を調査するべく、我々は調査員を派遣する事になった。
しかし事はアンダーグラウンドが舞台となり、何かと危険を伴う為、専門家を雇う事になった。
◇
先輩にいいバイトがあると言われたんだけど、これ本当に問題無いのかな?
経験不問の割りにバイト料が高いからやろうと思ったけど、家の事情でやれなくなったから紹介してやると言われたんだけど。
今日1日だけで20万円は凄くおいしいけど、調査だけでこんな大金とか本当に大丈夫なのかなぁ……まあいいや。
やって来ました裏路地の怪しい本屋。
ええと、中二病の主人公が裏山で成り切りをして遊んでいたら山の斜面を転がり落ち、下の池に落ちて気付いたら鯉になっていたって話か。
これは怪しいぞと題名を見てみると『中二病で鯉になって死体』どっかで聞いた事のある小説に似た題名である。
お、これはどうだろう。
ええと、近未来のVRの話のようだが、相対時間が超高速だから短時間ログインでも遊べるゲームか。
忙しい仕事の合間に数秒だけのログインでも遊べるって話らしいが、そんな短時間しかやれなくても恋がしたいって話。
ううむ、どうなんだろう、この題名も実に怪しいが。
『中2秒でも恋がしたい』
リアルでしろよと言いたいが、VRで恋とかどんな話なのかが気になるところだ。
「買わないなら出て行っておくれでないかい」
うひゃー、色々見ていたら追い出された。
ううん、あれがちょっと読みたかったのに……さて、気を取り直して次の店に行きましょう。
ええと、この辺りだと思ったけど。
ああ、あれかな?
『うちの酒がこんなに美味い訳が無い』
やけに自虐的な酒屋だな。
いやこれは予想外に美味くなったと言いたいのかな?
あれっ、これも何か聞いた事があるような。
こんな題名の小説が無かったかな?
まあいいや。
晩酌用に何か買おうかなと、酒のラベルをつらつらと見ていく。
『3594』……これ、何の意味だろう。
ロットナンバーをラベルに書くはずもないし。
『ベニスの王妃様』
ベニスって外国だよな。
そこの王妃様が絶賛した酒なのかな?
『ナルナルナルナルナルナルナルナルナルナル』
これ何? ナルがやたら並んだラベルだけど。
『白子のパスタ』
なんで料理名なんだろう、このお酒。
『焼き鳥はネギマ』
だから何でこんな料理の名前が付いているんだろう。
『スライムダンク』
スライムってモンスターの名前だよね。
ダンクって名前のスライムの事なのかな?
でもそれをお酒の名前にするってどうなんだろう。
『パンダーパンダー』
白と黒のラベルは確かにパンダを思わせるけど、語尾を伸ばすのに意味があるのかな?
そもそも、何でこんな変な名前ばかりなんだろう。
「おう、兄ちゃん。奥にもっと美味い酒があるぞ」
おおお、それは楽しみでーす。
それっきり彼は戻っては来なかった。
意趣も他意もありませんが、クレームで即削除の用意はあります。