Course Out4 チュートリアル
番外編その4です。今回はちょっとした裏話、ではなくて、この小説独特の用語について説明をしてみよう!という企画です。pixivだと小説内リンクをふんだんに使ってあっちこっちに飛ぶように仕掛けたんですが、こっちではただ載せるだけになっています。ご了承ください。
「……この建物の中で、この冥界にいると出くわす訳のわからん言葉について、いろいろ説明してくれるそうだ。よかったら立ち寄ってやってくれ。どうやら俺みたいな男子勢は立ち入れないみたいなんだけど」
【四冥神・十聖士】(ゼファー・ジャンヌ・ダルク)
「よく来たわね、そこの椅子に座るといいわ。もしかすると話、長くなるかもしれないから。
えっと、わたしが任されたのは、四冥神と十聖士ね。まあ簡単に言えば、長を補佐する大臣みたいなものね。それが上位で序列が決まってる四冥神と、下位で序列が決まってない十聖士に分かれてる。わたしはその上位の方の……一番、下ってわけ。ふん、こんなのすぐに3番目や2番目に上がってやるわよ、何せあのシャンネが主死神になれたんだからね。
四冥神は昔からあった位で、この冥界が始まったころからあるって聞いてるわ。でも十聖士の方は比較的新しくて、先々代の主死神の頃にできたもの。より多くの意見を治世に反映させるために、十人を選んでスタートさせたのはいいけど…誰かがどこかで話したかしらね、いろいろあって欠員ができた。その穴を埋めようにも代わりがすぐにでも務まるような人がいなかったから、その欠員は放置されて、それがそのままになってる。別にきれいな数字にこだわらなくたって、「八聖士」とかにしちゃっていいと思うけどね。
まあそんなところなんだけど、現世と大きく違うところがあるわね。それが、正規の仕事ではないってこと。何か重要な話し合いがあって呼ばれたときは主死神から十聖士までが集まるけど、それ以外はそれぞれの仕事、例えば省にいる人なら省の仕事をするってわけ。ペルセフォネさんが亡くなってから今の体制になって、さらに悪魔戦争があってがらっと顔ぶれが変わったけど、こんなに短い間隔でメンツが変わるなんて珍しいわね。
……え?わたしは相も変わらず役立たずの四冥神?ぬうっ……いい気になってんじゃないわよ!でっ……出ていきなさい!!」
【主死神】(シャンネ・スノーウィ―・アフロディテ)
「改めまして、わたしは主死神のシャンネ。ということで、ここでは主死神の説明をしますね。大雑把に言えば、冥府の長が主死神。本来なら『あるじしにがみ』とでも読みそうだけど、『しゅしじん』って呼んでいることに注意ね。主な仕事はもちろん、未練死神たちの住むこの冥界の管理。となるとやっぱりベテランであることが必要だから、十聖士、四冥神って段階を踏んでなる人がほとんど。だから四冥神を経ることなく主死神になってしまったわたしは、極めて珍しい。
主死神の仕事の多くは、死神たちの罪の裁定。現世の人の罪の審査は葬儀死神側の仕事だから、そうなってるの。あとは冥界全体に関わるような事柄を話し合う時については、もちろんそれに出ることね。え?今はこんなことをしてていいのかって?これは、一種の宣伝活動よ。わたしたちの世界の特殊さを少しでも知ってもらうために頑張っているから、他の子たちのところもよかったら見ていって。」
【能力】(ベガ・ボルゴグラード)
「私はベガ・ボルゴグラード、よろしく。能力の説明だな。
未練死神、つまり私たちの先祖は人間だったが、この特別な世界で過ごすうち、たとえば手をかざせばたき火が出来るとか、ちょっとした特殊なことが出来るようになった奴が出てきたんだ。それからさらにしばらくして、能力を持たない連中でも、確率論で様々な能力を授かることのできる道具が開発された。だから今でも能力を先天的に持って生まれてくる奴と、後から手に入れた奴とがいるってわけだな。ちなみに私は“大炎上”(マグマ・ワールド)、兄貴は“神の操り人形”(マッド・マリオネット)という能力を持っているが、どちらも先天性だ。あと先天性と言えば、マドルテ、レイナ、シナノぐらいか。後天性もかなり多いな。クルーヴはじめ半分かそれより少し多いぐらいの割合で後天性だ。ただその道具にも欠点がある。非常にまれだが、ランダムに選ばれる能力のリストの中には冥界を丸ごと潰すようなものが2つあって、本当にまれにその両方が発動する時がある。それが前の悪魔の使いだったってわけだな。
能力には現世目線で見れば現実的なものから、全くもって非現実的なものまで様々だ。今現在ではほとんどの発動している能力に、先例がある。大昔までさかのぼれば、全く同じ能力を使っていた奴がいたということだ。ただレイナの“はたと止まる、世界の時間”(ステップ・イントゥ・ザ・ギャップ・ワールド)とかは先例がない。その能力を持つのはレイナが初めてってことだ。
能力の話はだいたいこんなものだけど、五紋家もこれに深く関係してるから、レイナのところにも行ってやってほしい」
【五紋家】(レイナ・カナリヤ・レインシュタイン)
「こんにちは、レイナ・カナリヤ・レインシュタインです。よろしくね!
えっと、五紋家の説明だね。もうベガの説明は聞いた?もしよかったら、そっちを先に聞いてくれたら、分かりやすいかもね。
“能力”って概念が発生して、普通の人間にとってはありえないようなこともできるようになったから、それを管理するための、発動専用の道具が出来たの。それがちょうど5つで、あんまり乱用してはいけないものだったから、それじゃあ5つの家で1つずつ管理しましょうということになって、今に至るわ。
今分かってるのは、とあるおじさんの家(14~16話参照)、レインシュタイン家、ハーバーシュタイン家の3つだね。レインシュタイン家は古くからあって、シュタイン系統の本家。ハーバーシュタイン家は比較的本家に近い分家。他にもたくさん親戚はいるけれど、正直に言うと、多すぎて誰が親戚か分からない。……あ、これオフレコね。他の人に言っちゃダメだよ。
…それで、管理してるのは五紋家なんだけど、まれに出てくる凶悪な能力が発動しないように、研究が進められているの。その筆頭が元四冥神で、今は副主死神のマドルテさん。さすがにNO.2の地位になれば仕事を放って研究ばかりする、なんていうのは無理だと思うけど、ある程度は研究もできるように、アルテミスさんが一緒に指名されたんだと思うわ。実際マドルテさんに研究を辞めさせるのは惜しくて、例の凶悪な能力が発動しても、5回使えば自然消滅してしまうように改良に成功したのは他ならないマドルテさんだから。ちなみにベガの説明を聞いてくれた人なら気づいてくれたかもしれないけど、私は先天性の能力なのに、レインシュタイン家に代々伝わる能力発動のための指輪を持ってる。これは私が指輪をちょこっといじって、普段は本来の目的を果たすけど、私が使ったときは私の能力の制御をするようにしたから。時間制限をしないと、好きなだけ年を取って、そうなると誰よりも早く死んじゃうことになっちゃうから。
五紋家の話は、これぐらいかな。これからも何かと五紋家が絡んでくる時があるかもしれないから、その時はよろしくね」
【悪魔】(ル・アルビオノワール・アラルクシェ・ライム/エリザベス・デメテル・マリーゴールド)
「お、次は僕らの出番?こんにちは、ル・アルビオノワール・アラルクシェ・ライムって言うんだ。ライムって呼んでね。で、こっちがお母さんのエリザベス・デメテル・マリーゴールド。僕だけじゃ分からないこともたくさんあると思うから、お母さんにもいてもらってる。……兄ちゃんはどう?外で暇そうにしてた?……そっか。男は入れないもんね。別に入ってきたら社会的に死ぬとか、そんなことは全然ないんだけど…なんとなく、メンバーが集まったら女だけになっちゃって。それで、」
「ライム、いいから悪魔の説明しなさい」
「はーい、じゃあ行くよ。そもそも死神がメインで出てくる作品は、その敵としてどんな存在が出てくるかはまちまちなんだけど、この作品内では悪魔としています。だって。どういうこと?」
「さあ、何か裏で糸が引かれてるんじゃない?」
「また適当なことをおっしゃる…ま、まあ、魂を平和的に回収して現世の平穏を保とうとする死神と、人間の願いを何でも叶える代わりに魂を奪い取る悪魔が対立しても、不思議じゃないってことだね。かつてこの冥界では、主死神にアレクサンドロ・フレアっていうじじいがいたんだけど、その人は実は相当昔から冥界をスパイしてた悪魔だった。悪魔との子ももちろん残してたけど、何事もないように死神との子どもも残した。その子孫が僕たち。
悪魔の一番の特徴は、銃に生命力をつぎ込んで、多種多様な効果を発動させてるってことだね。最近の悪魔は考え方を変えて銃だけに頼らないようにしてるみたいだったけど。その銃のオプションの中でもかなり強い部類に入るのが、僕たち“炎”の一族のもの。銃弾が命中したらそこから炎が噴き出るなんて、普通は考えられないよね……
とにかく、死神に敵対する存在として悪魔がいること。悪魔との戦いも回数を重ねるごとに、規模の大きいものになってしまってるってことが分かってくれたら、だいたいOKかな。じゃあまた、どこかで会おうね」
【冥府機密省】(ミュール・ブレメリア)
「はじめまして!ミュール・ブレメリアです!実は私、一番最近にはじめて出てきたんだね。私は冥府機密省について、お話したいと思います。レイナは五紋家の方に行っちゃったからね。冥府機密省はその名の通り、冥界で他人に漏れちゃマズい情報のすべてを管理する省で、一応冥界の省の中では一番上なんだよ。ただその機密保守義務が省の人同士でも存在して、基本的に同じ機密省所属だってことまでは知ってても、どこの課所属課までは知らない。同じ課の人同士で同僚なんだ、って認識できるだけ。前の時にもあったけど、移動用エレベーターも完全に個人用。誰が何階に行くのかさえ分からない。でもそんな機密省は部署の多様性で有名で、私たちが所属する史料の編纂に携わる史纂課とか、警察さえうかつに踏み込めないような事件の捜査や容疑者の逮捕をする処理課や、情報管理と収集を行う機密課とか。私たち史纂課は史料の編纂ということもあって、比較的一般の死神に見せてもいい、というかむしろ歴史を学ぶなら積極的に公開されるべき情報を扱ってるから、機密性が一番低いって言われてるんだよ。こうやって、機密省は実は冥界のいろんなところでからんでるから、もしかするとこれから先もよく出てくるかも。レイナは普段はウラナとよくいるから、私が出てくるのはレイナより少ないかもしれないけど、出てきたときはよろしくね!」
【警察省】(クルーヴ・エミドラウン/ライン・クローバー)
「こんにちは。私の名前はクルーヴ・エミドラウン。こちらは今警察省で研修をしてる、ライン・クローバー。ということで、ここでは警察省について説明するわね。
もともと現世における警察省の役割をしてたのは機密省の処理課なんだけど、そこだけでは検挙しきれなくなって、処理壱課と弐課が移籍するという形で、警察省が作られたの。設立者が私たち未練死神じゃなくて、葬儀死神の宵蘭さん――天蘭のおばあちゃんにあたる人ね、その人だっていうのも一つ大きな特徴ね。仕事は言わなくても分かると思うけど、基本的に現世の警察と同じ。ただし、未解決事件、特に冥府革命集団の事件ね、そういうのを専門的に扱ってる人もいる。私みたいに現場に出る傍ら、そういう調査を進めるって人も多いけどね。
警察省ができた経緯を聞いた人の中には、もとは機密省だからコンプレックスはないのか、って言う人がいるけど、少なくとも私はそうやってひがんでる人を見たことがないわ。警察省は機密省とは違って、全員の協力が必要なことも多いし、機密を他人に漏らすと大変なことになるってわけでもないから、警察省の外には漏らさないって範囲で、みんな和気あいあいとしゃべってるわ。だから職場の楽しさで言うなら警察省の方がダンゼン上ね!……これは、レイナには言わないでね?」
「エミーさん、ゴキ……」
「ええっ!?うわっ、うわわわわわわ………!!」
「………!!ちょっ、ちょっとエミーさん!?…ごめんなさい、エミーさん、鎮痛剤の効果が切れたのが相まって気絶しちゃったみたいです…説明は中止で。あ、でも、今ので全部説明は終わってますね。ありがとうございました!」
【“ゼネラル”】(ウラナ・アマリリス/フロライト・ニカテナ・アルテミス)
「久しぶりね。改めて自己紹介しておくわ。あたしがウラナ・アマリリス。それでこっちの人が、フロライト・ニカテナ・アルテミス。ここでは主死神直属の最強兵とうたわれる“ゼネラル”について説明するわね。
あたしたち未練死神は祖先が現世の人間だから、当然当時から軍隊は持っていたんだけど、死神になったときに、ひとまずその制度を引き継ごうということで、じゃあその一つの軍団をまとめる人が必要だ、ってことで将軍、つまりゼネラルが任命され始めたの。だからできた当時はそんなに特別な存在ではなかったけど、いちはやく悪魔たちがあたしたちの存在を感知して攻めてくるようになった時に、軍団単位で戦ってちゃ全滅するかもしれない、現世の人間のようなやり方ではうまくいかない、って分かって、軍団じゃなくて個人、組んでも5人までで戦うことになった。そうするとゼネラルの意味がなくなっちゃうから、せっかくだということで、最強の人を1人選んで、基本的に独立して動くようにしたの。これが特別な意味での“ゼネラル”の始まりね。当初、“ゼネラル”には男が多かったんだけど、最近は特にあたしと先代のアルテミスさんみたいに女が多いわ」
「ガキの頃にウラナは私にとって代わったのよ」
「あたしがまだ先生のもとで教わってた時ね。正直なところ、まさか勝てるとは思ってなかったわ」
「嘘おっしゃい。余裕ぶっこいてたじゃないの」
「そうかしらね?でも確かに、1000連勝軽くできるとは思ってなかったかも」
「とにかく、ウラナは死神離れしてるのよ。元々人間離れしてる死神からも離れてるからよほどね」
「アルテミスさんも強くなってくださいねー」
「うっわ何それムカつくーー!!」
「ちなみに“ゼネラル”がいわゆる冥府革命集団の持ち物だった刀……後で分かったことなんだけど、名前はガーネットね。それを使用してる。ちなみに例の集団でこの刀を使っていたのはセントガーネットね。今のところは詳しくは分かってないけど、ただ死んだってことだけは分かってる。この刀はいろんな能力が使えるの。本当に種類がたくさんあってここでは紹介できないけど、あたしみたいに能力を持ってない死神にとっては助かるわね。……あ、ちなみに『飛べる』っていうのは一応、能力にはカウントしないってことになってる。『飛ぶ』ことのできる死神はほとんどいないしね。
“ゼネラル”の説明はこんなものかな。じゃあ、またどこかで」
「おっ、お疲れ様。どうだった?どうして俺たちは入れねーんだろうな……。何かコソッと入れるいい方法、ないか?」




