バァンデッタ
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Repubblica Italiana
イタリア共和国
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会議室のモニタに映し出されたのは、20代前後の女性士官と緑のバラクラバをかぶった大男だった。
モニタの画質は、下げてあった。
視聴する者の中に女性もいたから、その配慮だろう。
女性士官は、裸に剥かれパイプ椅子に縛り付けられていた。
憲兵帽だけは、被ったままになっていた。
彼女が素人目にも憲兵隊と分かるようにしているのだ。
悪趣味な話だ。
「こちらが、先日パダーニア同盟戦線のホームページに挙げられた映像です。」
とドラーギ憲兵少佐は、そういって動画の再生を開始した。
「レイプ被害二遭ワレタ方、又ソノ家族方ハ、視聴ノ中断ヲ推奨シマス。」
と虚人の忠告が入ったが、ぼくは、さして気に留めなかった。
「我々、パダーニア同盟戦線は、すべての移民を否定する。
見よ、この汚らわしき醜態を、これが君たちの国家を守る憲兵ぞ。
こいつは、見ての通りxxxxxx人だ。 (検閲が実行されました。)
xxxxxで、xxxxxxな、この汚らしいxxxxxxxxがぁ!!(検閲が実行されました。)
こんなのに税金なんて払わない!!
xxxxxxxxxx!!!!!! (検閲が実行されました。)」
ぴーぴーと検閲が入るたび一瞬、笑いそうになったが、必死にこらえた。
気つけばパダーニアグリーンの覆面の男たちが、10人ほどに増えている。
男たちの手には、火のついた松明と電動ドリルがあった。
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
直後大人しかった女性士官が、断末魔の叫びをあげた。
一人の男がドリルを股間に挿入したのだ。
「xxxxxx!!!!xxxxxxxxxx!!!!」
続いて、口、手首、踵、とドリルを刺して刺して刺して刺して刺していった。
血と肉の欠片が飛沫する。
回転して、シュークリームのようにぐるぐる巻きになった筋肉がドリルに吸いつく、会議室のあちらこちらから嘔吐の音が聞こえる。
でもぼくは、何分みなれていたもので、どうしてもその場になじめなっかった。
男たちは、やがてぴたりと股間以外のドリルを止めた。
そして、まるでそれが、男根であるかのようにそれを動かし始めた。
その時だった。
女性士官の顔が一瞬、画面いっぱいに表示された。
「ソフィア・・・」
その顔に見を覚えがあったのだ。
気のせいだったのだろうか。