ニューロマンサー
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「黙れよ、偽物。」
虚人の首の大動脈を引きちぎる。
壁に赤い赤い血が飛沫する。
が、虚人は、痛がりもせずのっぺりとした無表情を保ったままだった。
不自然な恒常がそこにもあった。
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「妹さんをどうしますか?」
人間の死とは?
そもそも死とは?
死者は、喋らない。
意思を示さない。
そう、死人に口なし・・・だ。
今ぼくは、虚人を殺したのではない。
壊したのだ。(現にぼくは、器物破損の罪で賠償を払った。)
その点では、ソフィアは、死んでいる。
そう、ソフィアは、死んでいるのだ。
「お願いします。」
ソフィアを殺した。
凶器は、サインペンとマニラ紙。
ぼくが、ぼくが、殺した。
ソフィアが死んだのは、ぼくの責任だから。
その罪は、ぼくが、背負うのが道理だろう。
だから、ソフィアを(ソフィアだったものを)殺した。
テロリストなんかにこの罪は、渡すものか。
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痛い。
外骨格が耳の神経を刺激因子で締め上げたのだ。
wake up!(起きろ!)
そう、テクノロジーがぼくに喚き立てる。
さぁ、起きて戦えウィリアム・マクスウェル・・・と。
立体地図を表示し、状況を確認する。
暗い林の向こう側に敵がいると、無人機が、感知したようだ。