第3章 翼、誰にも言えない衝撃
第3話です。今回はいつもより多少文が短いですが最後までお楽しみください。
第3章 翼、何も言えない衝撃
「ごめん。俺は別に好きな女子がいるから・・・気持ちは嬉しい。だけど・・・ごめんな」
実は翼には別に好きな女子がいた。その相手を咲良に告げることなく体育館から出て行き、
残ったのはただただ震えが止まらない咲良だけだった。
翼が好きな女子生徒は・・・美紀だった。
翼は来週美紀に告白しようと意気込んでいた。
その日から翼は美紀の好きそうなものなどを他の友達に聞いたりなどとにかく美紀に好かれるため小さな努力をし、いよいよ告白当日。
翼は美紀を体育館裏に呼び出しいざ告白した。
「いきなりごめんな。実は俺美紀のことが好きだ。俺と付き合ってくれないか??」
「え?え?ちょ、翼?何言ってるの?急に」
まるで異性から告白されたのが初めてのようなリアクションを取る美紀。
美紀は
「そこでしばらく待って」とだけ言い残し体育館から出て行ってしまった。
そこからの時間がとても長かった。
外はもう夕暮れだ、太陽も東に沈もうとしている。
夕日がとても眩しい。
どれくらい時間がたっただろう。
「ごめんね。翼、お待たせ」
少なくとも30分は待っただろう。
「別にいいよ、それよりどうしたの?」
「ちょっとね、あ、こっちに来て」
美紀に誘導されるままステージの中央に来た翼。
「じゃあ、翼くん、結論から言うね」
「う、うん」
緊張の一瞬だ。
「ごめんなさい。私、好きな男子がいて。実はもう付き合っているんだ」
(えええええええええええええ)
と言いたかったがそのときは驚きよりも衝撃が大きかった。
「ちょっと待ってよ、き、聞きたいことがたくさんあるよ。まず美紀が付き合っていることなんて知らなかったし、それとあの謎の待ち時間は何だったの?それと・・・」
「まあまあ、今から説明するから。実は5日くらい前かな?ある男子から告白されて、私は付き合ったんだ。それでさっきの翼からの告白もどうしていいか分からずに、け・・・・彼氏に相談してきたんだ。だから・・・・」
「そうだったのか?でもそれっていったい誰だよ。その彼氏とは??」
翼は今美紀が付き合っている彼氏がすごくすごく気になっていた。
しかし美紀は
「ちょっとそれは今は言えない。まあいずれは言うからその時に言うよ」
「俺、今気持ちの整理ができてないよ」
「ごめんね、翼くん。でも翼くんとは友達で居たいと思っているから。よろしくね」
「ああ、まあじゃあ俺帰るわ」
そう言い残し体育館を後にした翼。
翼の帰宅途中。
「どーせ俺なんかモテないもんな~。くっそ何でフラれるんだよ俺が」
翼は今までの恋愛状況を1回整理してみることにした。
「えっとまず始めに俺のことが好きと言った咲良がいて、でも悪いけど俺は美紀のことが好きだから咲良をフッたんだよな。そして俺は美紀に告白したけど美紀には既に彼氏がいた。まあ付き合っている人がいたの表現がいいかな。でもその相手は不明」
(何だよこの状況は!)
少しイラつきながら家路を急ぐ翼。
この日は休日だった。
翼は新しいテニス用品を購入するため近くの大型ショッピングモールへ出かけた。
「とりあえず専用のTシャツでも購入するか」
スポーツ用品店に行き様々なグッズを購入した。
「あ、せっかく来たから本屋にも行ってみるか」
翼はせっかくきたついでにと思い、本屋にも寄って見た。
「何か手頃な雑誌とかないかな~」
本屋を適当にウロウロ物色していると翼の目にあるものが映った。
「ん?あの人。どこかで見覚えが・・・??」
よく見てみるとそれは美紀だった。
「ああ、美紀か。ん??隣にいる男子って?もしかして付き合っている男子かな?」
翼は2人にバレないようにこっそりと後をつけた。
「よく見えないな~」
そのまま2人はゲーセンのプリクラコーナーに入って行った。
「あと少しで見えるのに・・・」
仕方なくさらに後を付ける翼。他人から見たらただのストーカーになってしまう。
しかしどうしても相手が気になる。
ここは意地でも見てやる!と思っていた。
美紀たちが入ったプリクラ機のギリギリ前に立ちこっそりと覗き込む。
するとそこに見えたのは、
「え?もしかしてあれは・・健か??」
さらによく見てみる。あれは正真正銘の健だった。
言葉が出ない翼。
「まさか、美紀と健が付き合っていたなんて・・・」
翼にとって大きな衝撃だった。
(続く)