第1章 犯罪の何が悪いの??
お待たせしました!
新作小説第4段です。
第1章「犯罪の何が悪いの??」
長かった1日の授業が終わった。やっと勉強地獄から開放される。
健は授業が終了したことと明日から3連休になったことを喜びながら玄関に向かった。
「それにしても健、明るいな??」
健と一緒に歩いていた翼が話しかける。
「そりゃそうだろ?だってあのクソダルイ授業が終わったんだぜ。しかも明日から3連休。こんな嬉しいことあまりないだろ?」
「いやあ。そんなことないと思うけど。3連休なんて数ヶ月に1度はあるもんだよ。」
「やかましいな。とにかく俺は今嬉しいの?それより翼はこの休みどうする?」
「俺は筋トレだよ。やっぱり今はスポーツに力入れているからな」
「確かにお前すげえな?この前のテニスの全日本大会でまさかのベスト4だもんな」
校内一のスポーツマンの翼は1週間前に開かれたテニスの大会でベスト4を獲得。それも高校生では日本一の記録だった。2020年に開催される東京オリンピックにも期待の若手として実行委員会から注目されている一人だった。
「まあな、だから俺はこの休みはずっと練習だ。それよりお前、また前みたいな問題起こすなよ」
「安心しろよ。俺がそんなに問題起こす生徒だと思うか??」
翼は約4ヶ月前に健が『ある事件」を起こした。そのことがあってからも先生に暴力や器物破損などさらにタバコ、飲酒などが月に2~3回は起きて、校長からも謹慎や反省文が出るほどの生徒だった。
「心配だから言っているの。あの4ヶ月前の事件だって俺もびっくりしたからな」
それは4ヶ月前のある土曜日の深夜だった。
その日夜全然眠れなかった健は近くのコンビニに行き食料品などを購入した。そして健はある計画を思い浮かべた。
「酒でも買ってみるかな?店員どんな反応するのかな。」
それはほんのちょっとした出来心だった。
健は少し笑いながらレジに向かった。
「あの~すいません。お客様?こちらはお酒です。失礼ですが身分を証明できるものをお持ちですか」
「いやあ、ちょっと持ってないけどね」
「それでしたらこちらは売ることは出来ません。」
そう店員に言われた瞬間健は、
「お前うぜえんだよ!!いい気になりやがって!!」
と大声で叫びながら店員の胸ぐらを掴んだ。
「落ち着いてください。お客様」
他の店員がなだめようとすぐがそれでも収まらない健。
「ふざけやがって!覚悟しろ!」
「君、まだ高校生だよね。何でこんなことしたの??」
その時健は警察署にいた。
あの店員への暴力を見ていた一般の若い男性が警察に通報の電話をしていたのだ。
警察がコンビニに来て健を確保すると健は観念したのか、急に大人しくなり何も言わずにパトカーにのりそのまま警察署に来たのだった。
「ねえ君、どこの高校?」
「・・・・・・・・・」
「学校には毎日行っているの?」
「・・・・・・・・・・」
「何でこんな時間にウロウロしてるの?」
「・・・・・・・・・・・・・」
警察官への質問には全然答えずずっと無視していた。
「まあ今回の件はコンビニの方も穏便に澄ましてくれたから処罰などは無いけど、とりあえず学校には連絡したいから早く言いなさい。」
「・・・・・・・・・・・」
「君ねえ、そんな感じだったら家に返すことは出来ないな。」
「・・・・・の、・・・るい・・・」
「え?何て言ったの」
いきなり小さな声で呟いた健。
「はん・・・・の・・・な・・いの?」
「ん??もっとはっきり言って」
「犯罪の何が悪いの??教えてよ」
高校生とは思えないあきれたその一言に警察官も手のつけようがなかった。
警察官は健のスマホを没収しそこからの解析でなんとか健の親に連絡を取ることができた。
「あ、すいません。私警察署のものですが実は今お宅の息子さんをこちらでお預かりしています。大変申し訳ありませんがいまからこちらの警察署に来ていただけませんか?」
警察官が親に連絡をした瞬間、健は
「もう、終わった」
とつぶやき、そのまま警察署から逃走してしまった。
「おい、お前!どこに行く!?」
「あなたは明日から2週間程度、自宅謹慎とします。」
翌日学校に呼び出された健。
あの夜、地域の警察官全員で捜索された健、さらに親からも厳しく言われるなど、いろいろな人に迷惑をかけた健。
当然学校からも厳重注意だけでは済まなかった。
明日から2週間の自宅謹慎を受けてしまい、当然外出も禁止。
さらに暴力を振るったコンビニ店員への謝罪、反省文など健にはしないといけないことがたくさんあった。
そんな中校長から1つ当たり前のような質問を受けた。
「で、何でこんなことしたの?」
質問を聞くなり下を向いて黙ってしまう健。しばらくして、
「最近授業がだるくて普通にイライラしていたからだよ、普段ろくな授業をさせない学校が悪い。それを育成している校長、お前が1番悪い。俺はお前のせいでこんなことになったんだ。俺は一生お前を恨む。覚悟しろ。」
突然大声で喋りだす健に校長はただ唖然としていた。
「もういい、今日はもう帰りなさい。後日また連絡するから」
そして2週間後、健は学校に復帰したが何か不服そうだった。
それからも月に2~3回は何かと問題を起こし、現在に至る感じだった。
「あ~マジで暇だ。」
明日から3連休なのに特にすることが思い浮かばない健はあることを思いついた。
「万引きでもしてみるか」
健は再び、悪の道を進んでいこうとしていた。
(続く)