予期せぬ再会
仕事にも慣れてきて、昼休みにスーパーに寄った。惣菜と弁当、お茶を選びレジに並ぶ。「4点で687円のお買い上げになります」。千円札を出しお釣りを貰う時に眼があった。痩せ型の綺麗な人だなと思った。右耳にピンクの小さいピアスをしていた。他のレジを見渡してもこんなに若い人はいない。みんなオバちゃんだり何処と無く知っているような気もした。会社の近くの公園で飯を食いつつ考えるも、出てきそうで出てこない。ミツルは忘れる事にした。その一週間後仕事終わりにスーパーに寄った。酒とツマミを買ってレジに並ぶが、あの人はいない。その次の日も寄った。あくる日も寄った。だがあの人はないない。思い切ってレジのオバちゃんに聞いてみた。「あの、前に来た時ピンクのピアスした女の人、いたと思うんですけど」。オバちゃんが答える。「あー、林さんね、若くて人気だったのにやめちゃったのよ。あなたお知り合い?」「いや、まぁ、ちょっと」。聞いてしまった以上知らないとも言えなかった。「こないだラーメン屋さんで見かけたんだけどね、すっごい痩せちゃってて、近くの三好荘ってアパートに住んでるんだけど子供もしばらく保育園に行ってないんだって、おっと喋り過ぎちゃったかしらね」。そう言って去っていった。家に帰ったミツルは「痩せた」、「子供」なんて言葉に引っかかっていたが気付いたら寝てしまっていた。