表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
地につく  作者: 森 翠
3/4

とまどい




自分の置かれている状況がよくわからなかった。


目の前にいるのは間違いなくあの神田で、さっき話した神田で、さっきもう帰ると行って帰って行った神田なわけで。


その神田が私を見て立ち上がって微笑んでいる。





ー私のことを待っていたんだろうか、いや、それは自惚れだから落ち着かなきゃ




「神田さん、どうしたんですか」

と感情を悟られないよう言った。


「お疲れ様、三枝さんのこと待ってた」



心なしか神田の顔は赤い。


香織はよくわからなかった。神田がこれから何を言おうとしているのか、香織自身何を期待しているのか。


「…」




意を決したように神田が呟いた。





「俺さ、たぶん三枝さんのこと好きなんだ」


「えっ?」


香織は神田の口から出た言葉を理解できなかった。口の動きがスローモーションで脳内再生される。





好・き???





‘’オレ タブンサエグササンノコトスキ‘’





何も言わない香織に向かって神田が言った。


「だから、俺と付き合って欲しいんだ。あ、返事は今度でいいから考えといてくれ!」


ぽかんとしている香織の頭をふさっと撫で、神田は歩き出してしまった。





30秒ぐらい固まってから香織も駅に向かい歩き出す。

頭の中が混乱していた。神田は好きと言った。付き合ってほしいとも。




遅い時間でも田園都市線は混雑している。頭の中が整理できないまま電車に乗り込むとクラクラした。



嬉しい?喜んでる?

わからなかった。自分の気持ちが。ただ、自分は神田をそういう目で見たことはなかったし、ましてや神田が自分をそういう目で見ていたとは。




しかし同時に面倒くさいと感じた。職場恋愛。女子社員からの嫉妬。社内での逢瀬。



香織にとって一番嫌いなものはそういう類の面倒くさい人間関係を招くものだった。



執着されたくない。執着したくない。





考え事をしていたら用賀駅で間違って降りていた。

仕方ないので二子玉川駅まであるくことにした。







評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ