タナトスの嘲り
タナトス連続投稿最後です。
キミは愚かだねぇ……
キミが頑張っているのは、確かに分かるけれど
キミがやっているのは、愚かとしか言いようがないよ
キミはさ、性急になりやすいんだ
早く終わらせたいのは分かるよ?
でもさ、どんなに早く終わらせたいと思っていても、速度の限界というのは、どう足掻いたって存在するんだよ
それに、キミは相手の理解深度というのが理解していないみたいだねぇ……
キミより理解深度が深い彼のことを、浅いと思い込んでいる
本当は真逆なのに、どうしてそう見てしまうのか、ボクには分からないよ
さらに言うなら、キミは自分の持っている常識が正解だと思っているし、他人の常識が間違っていると考えているようだねぇ……
でも、それってさ、キミ自身の一方的な見方だってことを知っているかい?
理解深度が深いからこそ、理解できる領域は明らかに存在するのさ
初心者の道具の使い方と、熟練者の道具の使い方は、明らかに違うと言えば、キミにも理解できるだろう?
それと同じさ
だけどね、理解深度はある程度までは深めることができるんだ
知識を増やし、思慮を巡らそうと努力すればいいんだから
キミはそれをしようとしたのかい?
しようとして、ベクトルを誤っているのかもしれないねぇ……
でも、ボクには分かるんだよ
キミは自身の理解深度を深めようとしなかったことがね
さらには、否定を持って嘲ったよね
まるで、自分こそが偉いんだと言うようなものだよ
そんなこと、ある訳ないのにねぇ……
怒るのかい?
なら、怒ってごらんよ
ボクの吐く言葉で、キミが憤るなら
ますます、ボクの言っている言葉が
本当に正しいということが、他ならぬキミ自身によって証明するんだからね
人というのはさ、自分に都合が悪い真実をつつかれると
認めたくないから、怒ることで
無理やりにでも、ねじ曲げようとするんだ
キミがやっているのは、それと同じなのさ
アハハ、ボクの名前かい?
なら、教えてあげようか
ボクの名はタナトス
キミを地獄へ送る存在さ
地獄へ行きたくない?
でも、キミは地獄へ行かなければならないんだ
なぜなら、キミが行った嘲りは、地獄に行かなければならないほど、積み重なっているんだからねぇ……
キミが否定しようが認めようが関係なく
ボクはキミを地獄へ送るのさ
それがボクの役目でもあるんだから
それを全うするのが道理というものだよ
さぁ、お喋りはお終いだ
それじゃあね、バイバイ
《終》
皆さんも[性急]には気をつけて。
じゃないと、後悔という蛇に呑み込まれてしまいますよ?




