タナトスの嘲笑
タナトス連続投稿三話目です。
キミは愚かだねぇ……
キミは自分が理知ある者だと
思っているようだけど
実際はどうだろうねぇ……
ほんのわずか、思慮を巡らせるだけでも
結果というものは変わってくるんだよ?
それなのにキミは、思慮を巡らそうとしないよねぇ……
言葉をかけるのだって
わがままを言うのだって
それに相応しい時というのがあるんだよ?
それらは思慮を巡らせば、自ずと分かることなんだけどねぇ……
キミはさぁ、こんな言葉を知ってるかい?
[無知なる者は不遜に振る舞うが、理知なる者は謙遜に振る舞う]って言う言葉だけどさ
この言葉をキミに当てはめたら、いったいどんな結果にたどり着くんだろうね?
おや、黙っちゃったね
まぁいいさ、[黙するのも時がある]というのがあるからね
でも、思慮を巡らさない限り、答えは不変だよ?
分からないのかい?
それとも、分かりたくないのかい?
そんなこと、ボクにとってはどうでもいいことさ
キミが気に入らない誰かのことを、心身の区別なく傷つけようが
仮初めの理知に浸りつづけようが
ボクがキミを気にかけて、教え諭したくないからね
だって、キミは否定するんだろう?
愚かしき無知が見せる、惑いの理知で築いたものを
駄々っ子のように固守するためにね
そんなもの、これからキミが向かうところに、意味なんてないんだからねぇ……
ボクが誰かって?
なら、教えてあげようか
ボクの名前はタナトス
偽賢であるキミを、地獄に送る存在さ
地獄に行きたくないって?
なら、キミの持つ理知的な無知で逃れてみたらどうかな?
死神であるボクから、キミはどこまで逃げ切れるかな?
ほら、遠くへ逃げてごらんよ
ボクはどこまでも着いていくよ?
キミが逃げるのを諦めない限り、ずっとね
おや、もう諦めたようだね
さぁ、鬼ごっこはこれでお終いだ
キミが向かうべきところへ行こうか
それじゃあね、バイバイ
《終》
モデルは……秘密です。




