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ふたりの恋  作者: ゆり
9/26

いちゃいちゃ筋トレ

※中盤、少し大人な描写があります。苦手な方はご注意ください。

「はーい、ななーはちー」


「もー……むり……」


 俺が足を押さえ、聡子が一生懸命腹筋運動をしている。頑張っている本人には申し訳ないのだが、その姿がとても…………エロかわいかった。押し倒してキスしたい衝動を抑える。


「ほら、頑張って。くーじゅー」


 10、の声をきいて聡子がぱたっと倒れた。






 事の発端は、聡子が『やーっ』と言いながら、どこに効いているのかわからない腹筋運動をしているのをみかねて、俺が指導したことだった。


 たった10回腹筋しただけなのに、聡子はもうへばっている。指導者としては、ここは喝を入れるべきところなのだろうけど、俺はどうにも我慢できず、聡子を組み敷くように抱きついた。


「やったー!休けーい!!」


 そんな俺に聡子も抱きついてくる。足を絡めてきた。この甘えん坊め。

見つめあって、どちらからともなくキスをする。


「聡子」


「鈴木くん、好き」


聡子が俺にちゅっちゅっとキスする。


「聡子、我慢できなくなるから、やめて」


「やだ」


ちゅっ、ちゅっとかわいいキスが続く。


「こら、次は腹斜筋鍛える運動するよ」


「えっそうなの?鈴木くんの美腹筋は様々な運動の賜物なのね」


「………………」


聡子は素直に褒めるから、照れてしまう。


「ね、腹斜筋ってどこだっけ」


「……知ってるでしょ」


「知ってるけど、教えて。できたら見たいな?」


 暗に脱ぐことを要求され、苦笑いしてしまう。


(そうか。聡子、生理前でムラムラしてるな……)


 最近わかってきた彼女の性質を思い出す。

実験するように、聡子の目の前で服を脱いだ。「きゃーセクシー!」と喜んで抱きついてきた。よしよしする。

別の日も統計をとって照らし合わせると有意差があることだろう。


「ここ、腹斜筋」


「うんうん」


「今鍛えたのは腹直筋。どこでしょう」


「ここ?」


 聡子の手が俺の腹をなでる。


「わかってんじゃん」


「ふふ」


 満足げに笑いながら、聡子が俺の腹直筋に顔をうずめてきた。


「はーー素敵ーー。うっとりーー」


 水泳部の飲み会でこういう人1人は出るよなと思い、素面でやってのける聡子に思わず笑ってしまった。

髪をなでる。聡子が嬉しそうにすりすりっとした。


 しばらくそうしていると、聡子が俺を押し倒すように乗ってきた。うん。そろそろ来るかなって思ってた。予想が当たって、笑みがこぼれる。

 ちゅっちゅっとキスされる。


「こら、聡子」


 まるでペットをあやすように言った。


「にゃー」


 聡子のこれは、お誘いの合図だ。ふわっと抱きついてきた。本当に甘え上手な猫だ。


「にゃー」


 ちゅっ、ちゅっとかわいいキスが続き、俺も段々その気になってきた。下の方でテントを張っている。ふと、聡子を少しからかってやろうと思いついた。


「猫さん猫さん」


「にゃっ?」


「……気持ちよくして?」


 下半身を動かす。


「!……あの……えと……」


 先ほどまでの勢いはどこへやら。聡子が真っ赤になって戸惑っている。


「あ、私汗かいてるし。ちょっとお風呂入ってくる」


 そう言って逃げようとする聡子を捕まえた。


「そんなのいいって。全然気にしない」


「いきなりは無理だよー!心の準備がー!!」


「あはは、心の準備ができたらしてくれるの?」


 聡子が耳まで真っ赤になって俺に抱きついてきた。しがみつくようにぎゅっとされ、ちょっとからかいすぎたかと反省した。


「…………なーんて。冗談だよ、冗談。ごめんね」


「………………!!」


 聡子が驚いたように俺を見た。


「ちょっとからかっただけ…………って聡子?え??何してるの??」


 俺のジーンズに手をかけ、ジーっとジッパーを下げた。


「…………する」


「えっ、いや、別にいいんだよ。いや、嬉しいけど!」


 からかわれたと知って怒ったのか、ムキになっている聡子に、どちらが本音かわからないことを言ってしまう。

多分、どちらも本音だ。

かわいい彼女に咥えさせるなんてとんでもないと思う自分とあのかわいい口に含まれたいと快楽を願う自分が、喧嘩していた。

気付けばジーンズを脱がされ、パンツ一枚になっていた。


 聡子がまずは下着の上からちゅっとしてくれた。もうそれだけで声が漏れそうだった。

下着を脱ぐと、俺が元気に飛び出してきた。聡子がそっと握ってくれる。まじまじと見られ、少し恥ずかしくなってきた。


「……あの、聡子。あんまり見られると男でもちょっと恥ずかしいっつーかなんつーか」


「あ、ごめん。えと、どうすればいいの?思わず触っちゃったけど、痛くない??」


 見ていたんじゃなくて、フリーズしていたのか。ちょっと笑ってしまう。


「あーー、えと、もう少しだけ強く握って、こう……そうそう……動かしてもらえると……ん……気持ちいい……」


 天井を仰ぐ。気を抜くとすぐいってしまいそうだ。素数を数えて快楽をやり過ごした。目を閉じる。しばらくすると、今までとは質の違う快楽が襲ってきた。あ、これって……


 ぴちゃぴちゃといやらしい音が響く。


 目を開けると、聡子が一生懸命、口でしてくれていた。優しく、いとしそうに舐めてくれる姿は悶絶ものだった。


(………ろ、録画したい………)


 そんなことを思っていると、うっかり射精への階段をのぼりかけてしまった。やばい。さすがに初回からいかされるのはちょっといやだ。


「……聡子、ありがと、もういいよ」


「気持ちよくなかった?」


聡子が俺から口を離し、心配そうに見つめてきた。


「そういうわけじゃ……ないんだけどあーもー我慢できない聡子ごめん」


 聡子を抱きかかえてベッドへ行く。洋服を脱がすのももどかしい。急いでゴムをとって、準備した。聡子の準備もオッケー。


「鈴木くんが口でビッって開けるところって、かっこいいよねぇ」


 花が咲くような笑顔を添えて真面目に言われ、俺は赤面した。


(好きだ…………好き……)


 聡子と繋がりながら、改めて思った。

しっかりしてるけどどこか抜けていて。2人きりになるとすぐ甘えてきて。運動はあまり得意でないみたいだけど、一生懸命なところとか。


(全部、全部……大好き)


「さとこ……」


「……あっ……あっ……すずきくん……」


 頬を上気させている聡子にキスして、俺は、果てた。






***





「そもそも、なんで腹筋鍛えようと思ったの?サークルって管弦楽サークルだよね?腹筋いる?」


 俺の胸の毛にすりすりしていた聡子が、動きを止めた。


「……鈴木くんが私のお腹ばっか触るから……」


「!」


 確かによく触っている。けれどあれは、聡子の肌が触り心地がいいからなんだけど。その旨を伝える。


「えー!そうだったの?私てっきり引き締めろってほのめかされてるのかと思って…。なーんだ、そうだったの」


 ほっとしたように、俺に抱きついてきた。


「聡子はこのままで十分かわいいよ」


「……なんかそう言われると逆に勘繰ってしまうんだけど……」


「ほんとだってば」


「きゃー」


 髪をくしゃくしゃっとすると、聡子が笑った。

はにかむように笑うその笑顔を忘れたくない、とふと思った。

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