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小瓶

作者: Ichen



理由が必要か?


その手に握った小瓶が 役立たずかどうか


こっちを見ているか?


その目が何を見ているか 分かるよ 



限界の心が壊れかけて

繋ぎ合わせた事実が崩壊する


たった一日が 全てをぶっ壊したんだから


何かに縋らないと耐えられない



自分が悪くなくても

誰かが悪いわけでもない


偶然がいかにきつくても

他人事だから言えるんだと突き放したところで 

それも痛みを癒さない 


違うか?



その口に血が付いている

その目が泳いでいる

握り締める小瓶は聖なる水で

助けてくれると 信じているんだろう?



ただの 水だとしても



悪夢にかけたら 端から燃え上がると信じている




理由が必要か そう思えない

小瓶を空にしたって 前も後も変わらないだろう


黒い風 沈む泥 熱を削る時間が 足の力を奪う

追いうちの雨 潰す音 耳鳴りが がなり立てる




でもそこにいたら 呑まれるだけだ


狂気を呼ぶ悪夢と 襲い続ける現場の記憶が

聖水が空になるのを待っている


だから



俺に手を伸ばしてくれよ


そこから動こう


何人も助けに来たのに 全部断った理由は

その聖水が 戻してくれると信じたいからだろう



小瓶が空になる前に


俺の手を掴んでくれ




助けられると思うんだ


何かに負けるかもしれない 

未来の保証もないけれど




小瓶よりは 未来が続くはずだ

挿絵(By みてみん)

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― 新着の感想 ―
[良い点] 景色が浮かび、 音が聞こえ、 言葉が心に響き刺さるような、 そうした詩の旋律、 言の葉の連なりでした。 Ichenさんの詩はとても心に響きます。 みせていただきまして、どうもありがとうご…
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