7話 狼を招いた兎
僕は少し歩き、冒険者ギルドについた
外にも少し血なまぐさい匂いが漂ってくる
「ふうー」
僕は深呼吸して大きな扉を開く
ギィ…
入ると汗と血の匂いが鼻に入ってきた
目に傷がある人や、血で汚れている人も居る
ん、あの子は…
そこには少し場違いな女の子がいた
僕が尾行した子だ
どうしてここに…
すると、出口の方に女の子が動き出した
今のうちに家を知っておいたほうがいいかな
そう思い僕は女の子についていく
もちろん隠密をしながら
ついて行っていると、道が粗く匂いが臭くなっていることに気づいた
ボロボロの服を着ている人もいるしここはスラム街かな
ということはこの子は育ちがあまり良くないのかもしれない
しばらく経つと、崩れかけの家についた
女の子の家だろうか
僕は身を低くして家に入っていった
「まま、帰ってきたよ…」
突然、女の子が喋った
まま?お母さんがいるのか
ずいぶん悲しそうだな
少し覗いてみるか
そこには眠っていて少しも動かない女の人がいた
これがあのこのおかあさんか
都合がいいな
大事な人がいると騙しやすい
いい子を見つけたかもな
すると女の子が僕の方に歩き始めた
僕はとっさに箱の裏に隠れ、身を隠した
「まま、絶対元気にするから!
行ってくるね」
待てよ、こんなに優しくて騙されやすそうな子だ
倒れていたら拾ってくれるんじゃないか
そう思い、僕はゆっくりと立ち上がった
外に出たら路地裏に入り人はいないことを確認し
先回りして道に倒れる
トンットンッ
「うぐ、」
「えっ…」
女の子は驚いて声も出ないみたいだ
さて、ここからどうなるか
「はっ!えっと大丈夫ですか?立てますか」
僕は立てるとだけ言った
心配しているし成功しそうだな
「えっと、家に来ますか?何もできませんけど…」
僕はうなずき女の子について行った
うつむいている顔に笑顔を浮かべるのを必死で我慢した
バレるわけにはいかない
僕が君を殺したいなんて
バレちゃいけないんだ
「君の死は僕が最高にしてあげる」
小さな声でそう呟く
この子はどんな顔を見せてくれるかなぁ…
口角を上げながら僕はニヤついた笑みを浮かべる
女の子は彼の狂気に気づけなかった
兎だ