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アンタレスの瞳

作者: 逢乃 雫

夕陽が沈み


夏雲が風に流れる


南の空の彼方



地平線の上に輝く


まるで情熱の瞳


アンタレス



天の川の底に沈む


一粒のルビーが


昏い夜空を紅に染めて



神話の時代から


どんな相手にも


果敢に立ち向かう


蠍の心臓のように



この今も


六百光年の時を越えて


熱いまなざしを注ぐ



その星の影には


もう一つの


エメラルドの輝き



情熱の紅き光と


あたたかに見守る


碧き静かな光


アンタレスの二重星



二つの瞳は


重なるように寄り添いながら


この星をみつめて




手を伸ばしても


届かない


宇宙船でさえ


二千万年の


気の遠くなる旅路



決して降り立つことは


できなくても


その光は今夜も


この星に降り注ぐ



幾星霜を駆け抜けて


果てしない闇をも切り裂いて



天の川の底から


天高く昇ろうとする


白銀の星々を


見上げるように




あの紅き


アンタレスのように


熱いまなざしで


夢を追いかけられたなら



あの碧き


アンタレスのように


静かにあたたかに


誰かに寄り添うことができたなら



夏雲が風に流れていく


遥か南の地平線の彼方


アンタレスは


今夜も輝く



紅き瞳と、碧き瞳で


君をみつめながら








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― 新着の感想 ―
[良い点]  燃えるような紅も、静けさを湛えるような碧も、どちらも優しく見守って。  紅と碧、静と動、熱と冷。真逆のようでも根底を同じくするような、奥底からの情熱を感じました。 [一言]  二千万年。…
[良い点] 蠍座にひときわ輝くアンタレス。 真っ赤なα星に寄り添うように青く輝くβ星。 今見えているのは600年前の光。 それを瞳に例えたのは素敵です☆彡 > 君をみつめながら 心に響く言葉です。 素…
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