44 クエスト完了!
結局また迷子の猫ちゃんを抱えたまま冒険者ギルドまで戻って来ました。
「すみません、このクエストの依頼主ってどこに住んでますかね?」
「そちらのクエストですと...北の方の住宅街の北から13ブロック、東から7ブロックのところの方だと思います。」
「ありがとうございます!では、この猫ちゃんを届けに行ってきます!」
「あ! ちょっと待ってください!」
「何かありましたか?」
「そちらの黒猫ちゃんの従魔登録がまだ済んでないと思われるのですが...」
「従魔登録ってなんですか? すいません、冒険者ギルドのシステムについてあんまりよく知らなくて。」
「大丈夫ですよ。異界の旅人の皆さんはまだ把握していないシステムだと思うので。従魔登録というのは冒険者の皆さんの従魔ーつまり、≪テイム≫した魔物ーを管理するシステムです。一目でわかるタグをつけてもらうことで間違えて冒険者の人に襲われたり、迷子になったり、他の人に奪われてしまったりというトラブルをなくすんです。」
「なるほど。で、登録するにはどうすればいいんですか?」
「登録には従魔の持っている魔力と飼い主の魔力を記録する必要があります。このクリスタルに魔力を流していただけますか?」
「こうですかにゃ?」
「こういうことでいいのかな?」
「はい、登録できました。従魔タグをつけさせていただきたいのですが首輪タイプでよろしいでしょうか?一度つけると大きな問題がない限り外すことができません。」
「モント、それで大丈夫?」
「うん、大丈夫にゃ!」
「では、発行させていただきますね...はい、これをつけて貰えば大丈夫です。」
「どうかにゃ?似合ってるかにゃ?」
「めっちゃ可愛い。」
「それはよかったにゃ!」
「ところで従魔登録は魔力でいいのに冒険者登録には血が必要になるんですか?」
「冒険者になろうとする人が全員魔力を流せるわけではないからですね。従魔登録の場合は≪テイム≫するときに魔力を流す必要があるので魔力で登録できます...というのは表向きの理由で実際は昔からの文化を今から変えるのが難しいからなんですよ。」
「なるほど、そういうことなんですね。」
「って、本来の目的を忘れてない?」
「失礼な、ちゃんと覚えてるよ! 住宅街の北から13ブロック、東から7ブロックのところに迷子の猫を返しにいくことだろ?」
「覚えてるんならいいけどさ。」
...
「うちのレオくんをありがとうございます!...もう!ダメでしょ、レオくんったら!」
「にゃ〜」
「ささやかなものですがこちらお礼の薬草です。私の趣味が家庭菜園でしてそこで作ったものです。品質は保証しますので!」
「いえいえ、こちらこそありがとうございます。」
...
「ありがとうございました!」
「さようなら〜!」
やっぱ猫は可愛いな。ところで、三毛猫のオスってめっちゃ珍しいんじゃなかったっけ?