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【完結済み】メグルユメ  作者: sugar
5.無縁塚
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19.試練―4―

 少しの休息を取り、アレン達は4階へと上がった。アストロの腹には痕が残らなかったが、コストイラの体には火傷の痕が少し残っている。名誉のものだと主張していたが、エンドローゼは沈んでいる。アレンの時も痕が残ってしまったからだろう。


「よく来た」


 その格好は物語に登場する死神のような黒装束。その下にははち切れそうな筋肉が隠されている。いや、隠れていない。ピッチピチだ。コストイラと同じサイズの武器のはずなのに一回り小さく見えるほどだ。


「ここまで来れた、その強さは理解している。しかし、今一度その強さを示せ。第4の試練を開始する!」


 男は剣を掲げ宣言する。








 男は紅い影を纏い疾走する。その疾走を止めたのはコストイラ。男は嬉しそうに口を歪める。コストイラも鮫のような笑みを浮かべている。男は後ろへ跳びアシドの槍を躱し、反撃に転じようとする。


 しかし、足元が熱を帯びるのを感じ取り、さらに後ろへと下がる。先程までいた場所には炎の柱が立ち上る。


「シャア!」


 炎を掻き分けコストイラが出現し、男の思考が一瞬固まる。男は剣の石突で攻撃を受け止め、蹴飛ばす。アシドの突き攻撃を躱し、穂先を剣で叩き、つんのめらせ石突で鼻の頭を殴る。


 レイドの攻撃は遅いので余裕を持って躱し、硬化させた足で脇腹を蹴り上げる。男がアレン達後衛を攻撃しようと動いた直後、痛みが走る。


 シキだ。斬られた痛みを噛み殺し、後ろ蹴りでシキを浮かすと、レイピアのような速度の三連撃を繰り出す。薄く血煙を上げながら、転がっていく。矢を放っても叩き落され、魔術は見てからでも回避を成功させていく。レイドの大剣をもう一度避けると、その地点にアシドが槍と共に落ちてくる。刃は床に刺さり、男は回し蹴りをお見舞いする。


 レイドは今度は大剣を横薙ぐと、男は跳んで躱し、顎に蹴りを入れる。


 空中にいる男を視界に入れたシキは回避も踏ん張りも効かないことを理解し、痛みを忘れて疾走する。男は辛うじて剣で防ぎ、シキの腕を捉えると、腕の力だけで投げ飛ばす。


 男は震えていた。


 何度も叩き、何度も傷つけても立ち上がるその姿に、歓喜していた。殴り蹴り投げ飛ばし、これだけ攻撃しているにもかかわらず剣の攻撃は一つも許していない。許容の美学を有している。


 彼らは間違いなく強者だ。


 男は震えていた。



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