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【完結済み】メグルユメ  作者: sugar
5.無縁塚
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3.霊が宿る花畑

「どうすんの?すぐに五重塔に行くの?」


 装備を整え、宿屋に戻ってきたところでアストロが確認してきた。アレンは荷物を置きながら首を振る。


「いえ、先に新しく買った装備を慣らしておきたいです。なので店の方に教えていただいた洞窟に行きます」


 洞窟という単語を聞き、アストロは嫌そうな顔をする。アシドとコストイラがアレンの肩を叩く。任せろと言わんばかりの顔をしている。アレンにはもうどうすることも出来ないので任せよう。一晩でどうにかしてほしい。


 翌日、満足そうな顔をしたコストイラとアシドが出てきた。これは期待できるか?アストロの機嫌はより一層悪化していた。あれ?何か違くない?アレンがアシドとコストイラを見ると満足そうな顔は変わらない。しかし、その上で肩を竦めた。


「……え、ええ。それでは、人魚の洞窟と呼ばれるところに行きましょう」








 人魚の洞窟はナカウの出店通りから真西へ進み続ければ辿り着ける。その道中、アレン達は花畑に来ていた。百花繚乱、豪奢な花畑が目の前に広がっていた。アシドは手で傘を作り遠くまで見渡す。


「陽光に照らされている花畑。映えるな」


「まだ昼時ですがあまりもたもたしていると夜も更けてしまいます。急ぎましょう」


「待て。何か浮いているぞ」


 アシドは進行方向を見ながら報告する。アレンも目を凝らしてみる。


「あれは、ホロゴーストですね」


 前回アストロが雑に燃やしてしまった魔物だ。あまり時間がかかっていないのであまり情報を持ち合わせていない。


「そういえば前にガレットからもらった書には何か載っていないのか?」


 コストイラに言われ、アレンはガレットの書を取り出し、中をぱらぱらとめくる。


 ホロゴースト。三つ子の魂のような魔物。闇属性。知性はおそらく2,3歳時ほど。悪戯好きな臆病者。美味しくない。


「お、美味しくない?」


「食べたの?」


 アシドとコストイラが声に出して驚愕する。読んでいたアレンも引き気味である。


「ま、まぁ。倒しましょう」


 アレンは弓を引き絞る。影から射られた矢は見事にホロゴーストの中心を通り過ぎる。口の端が引くつく。アストロの溜め息が聞こえた。申し訳ない。


 アレンのミスを帳消しにするように魔術が発動する。三つ子のうち一匹を仕留める。残り二つの魂が狼狽える。


 花弁が舞う。視界が遮られ、ホロゴーストを混乱へと導く。そして、花弁に紛れてシキが一閃。人魂を断ち切る。


 花弁が舞い上がる。


 シキによるものではない。シキはその風に巻き込まれ、天高く舞い上げられる。


 半透明な緑色の肌。地から浮いた体。周りを飛ぶ蝶や人魂。


 霊がまだ、存在していた。

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