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【完結済み】メグルユメ  作者: sugar
32-7.雲外蒼天
628/683

3.アリス

「瞬殺―!!」


 アナウンスの声が響くが、まったく感情が動かない。今日もつまらない試合だった。対戦相手はいつもつまらない勝利をくれる。


 シキとの試合、いや、死合は楽しかった。あのレベルの享楽はもう味わえないだろう。申し訳ないが、この地にいるチャンピオンクラスでももう相手にならない。これは驕りではなく、事実だ。


 あの日、フウに負けて、改めて自分を鍛え上げた。


 奈落にはもう自分を鍛えられる場所はない。そんなアリスの日課になっていることがある。


 400年前にカーベラが造ったワープゲートを通り、死者の闘技場(ニヴルヘル)へと行く。ここは英霊の闘技場と同じシステムだ。


「またお前か」


「お願いします」


 アリスに合わせて出てきたのはローロー。アリスが現在最強のチャンピオンだとするならば、ローローは歴代最強のチャンピオンだ。そして、歴代でも四番目にレベルの高い勇者である。


「ま、流石に一日じゃ俺を超えられねぇよな」


 アリスが構えを取るが、ローローは手を腰に当てたままだ。決して舐めているわけではない。こちらを誘っているのだ。


「それにしても謎だ。得体不明だ」


「何が?」


「お前は何のために強くなる?」


 アリスの心臓が固まる。そんなこと聞かれると思っていなかった。


「目標のねェ修行程、意味のねェモノはねェし、反吐が出る」


「目標はある」


「……そうか。ならばよし」


 ローローが構えを取るふりをして、地面を爆発させた。


 アリスが顔を傾け、拳を躱す。しかし、その拳圧に負け、横に飛ばされた。”鉄の拳”と呼ばれているだけはある。

 鋭すぎる蹴りを何とか躱し、懐に入る。血のように赤黒い魔力を拳に纏わせ、ローローは体を狙う。

 ローローはそれをまともに受けた。ローローの胸に拳が当たり、魔力が霧散した。ビクともしない。


「これは、明日も俺かな?」


 ローローはアリスの下顎を打ち抜いた。

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