表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結済み】メグルユメ  作者: sugar
32-5.愁苦辛勤
624/683

3.ゴール家

 決意の固まった少女がいる。ゴール家領地内で起こった、とある事件に関与している少女の噂は、領主であるロランドの耳にも届いていた。


 勇敢な者には栄誉があるべきだ。


 ロランドが外出しようと外套を羽織り、帽子を被ると、娘のニャスがどこからともなく現れた。

 ニャスは幼い頃に、自分は女の子の方が好きだ、結婚したい、とカミングアウトしてきた。


 きっと少女だと知り、一番に会いに行きたがったのだろう。


 制御が困ってしまうため、もう一人の娘であるトレットを連れて行きたいが、今、彼女は学舎へ忘れ物を取りに行くついでに、先生と話しに行ってしまった。


 ガラガラと音と振動を出しながら場所が道を進む。


 社交デビューしたばかりの娘は、はしたなく足をパタパタとさせながら、出会えることを待ち望んでいる。

 ロランドが注意をしようと、覚悟を決めた時、ドォンと大きな音と振動が馬車を襲った。


「何っ!?」


「何だ!? どうした!?」


 ニャスが馬車の壁にぶつけた頭を痛そうに押さえながら状況(わけ)も分からず叫ぶ。

 ロランドは壁に手を着き体を起こしながら、護衛の者に情報を求めた。


「な、何やら争いのようです。戦っているのは、お、大人と子供のようです」


「大人と子供だと? 親子喧嘩か?」


「そ、そこまでは」


「男の子? 女の子?」


「えっと、女の子だったかと」


「あ、おい!」


 ニャスが馬車から飛び出した。ニャスが無茶をするような情報を授けた護衛を叱りながら、ロランドも馬車を下りる。護衛が頭を下げるのを止めながら、剣を奪い、ニャスを追いかける。


 ニャスは着ているドレスの裾を持ち上げ、走りやすいように加工している。そして、ニャスは走りながら、民衆には避難するように指示を出す。


 その時だった。


「お、お、お貴族様! お! 逃げ、く、下さい!」


 目の前に少女が現れた。薄紫色の髪を爆発させ、顔や体に血をつけた、そばかすの少女が顔を上げ、ニャスの目をしっかりと見ている。


 その瞬間、ニャス・ゴールはエンドローゼに恋をした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ