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【完結済み】メグルユメ  作者: sugar
32-2.盈盈一水
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2.アルバトエル

 最近の私は頑張っている。それはもう途轍もなく頑張っている。


 嫌だった座学を目一杯我慢し、好きだった戦闘訓練もたくさん頑張った。

 特に嫌いであった貴族的なマナーや立ち居振る舞いの勉強もしている。


 先生が嫌だったのだが、お姉様の計らいで先生は解雇され、リックやサナエラなどの勝手知ったる執事やメイド達が担当してくれることになった。


 ここまでしてもらって、投げてしまうなどという選択肢は心優しいアルバトエルにはない。


 しかし、アルバトエルには謝りたいことがある。


 お姉様には申し訳ないが、貴族としての自覚が芽生えたわけではない。


 全てはアシドのため、だ。


 そもそも男にとって、お付き合いをしたい女は、アルバトエルではなくチラスレアの方だ。超絶美人で頭もよく、器量もよく、何より強い。そして、ちょっとエッチなことにも寛容だ。


 うちのお姉様と比べれば、アルバトエルは元気だけが取り柄の女の子、だ。それが好きという人もいるだろうが、アシドが好きなアストロという女は、お姉様のようなタイプだ。決して私のようではない。


 つまり、アルバトエルがやるべきことは、取り柄である元気さはそのままに、賢さや可愛らしさ、おしとやかさや大人っぽさを手に入れることだ。

 それをアルバトエルは最近頑張っているのだ。


「ふ、ん」


 アルバトエルは疲れた筋肉を伸ばすように、体を伸ばした。それに引っ張られて服が持ち上がり、おへそがチラリ。部屋にいるのは講師役のメイドであるネイチャンしかいない。別にすぐにおへそを隠さなくてもいいだろう。


「ブ」


 バンツウォレイン王国の歴史を指導していた担当メイド、ネイチャンはチラスレアよりもアルバトエル派であるため、ポタポタと鼻血が出てきた。

 小悪魔的な妹アルバトエルは、それに気付き、舌をチロリと出しながら、わざと服を持ち上げて肌を晒した。ほとんど膨らんでいない胸の一部が見えている。

 ネイチャンはギンギンに目を見開き、その光景をくまなく記憶しようと努力している。


 こうしておけば、ネイチャンは味方になるしかない。点数がいいのだ。

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