表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結済み】メグルユメ  作者: sugar
32.次元の狭間
607/683

38.獣の魔神

 青空はすでに消えていた。境界の狭間からは明るさが消え失せている。いつの間にか一転して、まるで月夜の晩のような蒼然とした薄暗さに包まれた。

 イーラが高速で動き、アストロ達の前に来る。

 アシドとレイドが後衛を護るように割って入る。


 しかし、その金毛の太腕に殴り飛ばされ宙を舞う。直撃を避けたところで結果は同じで、人の体が紙屑のように吹き飛ばされる。

 アストロが破れかぶれに魔術を放つ。イーラは軽く背を反らせる。そして、胸を風船めいて膨らませ、妖狐は口内で爆発させた。


 大音声とともに放たれたのは、衝撃波だった。


 狙いはかなり正確で、アストロのネックレスについている骸骨(ドクロ)が粉砕される。


『集え!』


 神の言葉に呼応するように、人々が集まり出した。おそらくはこれ全員がマーエン教。イーラを護りにやってきた信者達だ。

 人の波は唸り声を上げながら、四方から襲い掛かってきた。


「ぬぅん!」


 レイドが楯を構えながら突進する。マーエン教徒達が立ち塞がるが、圧倒的なレベル差を前に吹き飛ばされた。

 数がいくらいても覆せないレベル差を見て、マーエン教徒の腰が引ける。そんな中、一人の男が有象無象の中から出てきた。


「私がこの者を止めます。その隙に脇からでも背からでも攻めましょう」


 そういうと、女は一般的な騎士剣を構えた。レイドもそれに合わせて楯を構えた。


 アシドがレイドを助けようとするが、その間に、腹に贅肉をたっぷりと蓄えた男が割って入った。


「邪魔だ!」


 少しの苛立ちとともに槍を振ると、男は短剣を抜いて止めた。アシドが舌を打ってさらに槍を振ると、アシドの速度に対応した男が、短剣で槍を止める。


 その時、カオスドラゴンの向こう側で魔力爆発が起きた。


「か、は」


 赤と青のツートンカラーの髪をした女が、白目を剥きながら気絶した。

 周りにいたマーエン教徒達の腰が引けている。コストイラを止められない。あのクレアリーでさえ無傷で突破されてしまった。

 コストイラの視線はマーエン教徒ではなく、イーラに向いている。今、イーラの相手をしているのは後衛三人しかいない。


 コストイラが周りにいたマーエン教を斬り飛ばして、アストロ達の元へと急いで向かう。


『グヌゥ。これは天罰? 神に向かっての天罰か。フォンめ、面白い!』


 イーラが狐の顔を凶悪に歪める。


 エンドローゼの顔が泣き顔になっている。フォンの実力でもってしても、イーラには敵わないようだ。

 アストロが焦りながら魔術を放つが、イーラの金毛は致命的に威力を軽減している。

 アレンはすでに恐怖に支配されてしまっており、頭を抱えて蹲っている。もう戦闘に参加できないかもしれない。


『もう後は弱い者いじめしかないか』


 イーラがペシャンコに潰そうと右腕を振り上げた。


 コストイラが何とか追いつき、刀の柄でイーラの側頭部を殴った。


『ぐ!?』


「あれ?」


 まさか殴れるとは思っていなかったコストイラが勢い余ってイーラの上に乗ってしまった。


『あ? 誰だ、乗っているのは?』


 コストイラが口元を手で覆う。息の音すら聞かれたくない。


 今、イーラはコストイラかどうかわかっていない。背に誰か乗っているのは分かっているのだろうが、どういうタイプの者が乗っているのか分かっていないのだ。


 これを利用しない手はないだろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ