16.たった一瞬の暇
体力が回復すると、次の迷宮にまで歩き始めた。
そこには同じく風魔鉄を使ったゴーレムがいるらしい。
アレン達はほんの少しの休憩で2つ目の攻略に挑んだ。
『暇』
フォンは自身の凭れている椅子に顎を乗せる。
『フォン様。彼方は高貴な存在なのです。そのような姿をなさっては』
『だって暇なんだもん』
『いや、お仕事がありますでしょう?』
『うげ』
フォンは目の前に溜まっている仕事を見せつけられ、舌を出して嫌な顔を全面に出す。そして、顔を上に向ける。
『面倒な仕事からくれ』
『ご命令のままに』
フォンの従者は20枚ほどの紙の束をフォンの執務机に置く。
『これでひとまとめです』
『マジ?』
フォンはもそもそと動き、ハンコを手に取り書類仕事を終わらせにかかる。早く終わらせてあの可愛い子を迎え入れる準備をしよう。そう考えたらやる気が出てきた。
『よし、最速で終わらせる!!』
『おぉ!その意気ですぞ!』
『だからそのために、菓子を用意しろ!』
『あ、かしこまりました』
『あれ?お菓子職人変わった?』
『えぇ、はい。そうですね。2日ほど前に開催されたお菓子大会で優勝できなかったので、フォン様にはお出しできないと辞めてしまいましたよ』
『え。私聞いてないんだけど。え?連れ戻してこい。そのうえで私の前に連れてこい』
『は、はい』




