表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結済み】メグルユメ  作者: sugar
26.『黄昏の箱庭』
487/683

25.魔王を討たんとする者

 コストイラが顎まで伝わった汗を拭った。


 現在、コストイラ達は山の頂上にいた。次の山の頂上こそが目的のアレンがいる場所だ。

 今は一気に片を付けるために、英気を養うべく、休憩していた。これにはエンドローゼも賛成してくれた。このままいけば傷が増えるかもしれないからだ。


「何か来た」


 シキがナイフに触れる。コストイラも刀に手を伸ばす。


「何が来たの? 私にはまだ分かんないんだけど」


「ありゃ天使だな」


「おそらく”天界の使徒”」


「それって、あれよね。”天への階”とかよね。他の名前は今パッと出てこないけど」


「それな」


 アストロは未だに見えないため、目を細めている。レイドがアストロの側まで身を寄せ、指を差した。


「あれだ」


「あぁ、何となく見えてきた気がする」


 小さい豆粒が大きくなるにつれ、敵であることが確認できた。

 トライデントを持っていることからアークエンジェルのような気がする。

 アークエンジェルが空中で止まると、トライデントをくるくるとまわして気合を入れた。アークエンジェルが誰から倒すかを見ていると、シキが石を投げつけた。天使がトライデントを振るい、石を叩き落とした。

 振った後の姿の状態で、さらに石が見えた。え? 石、多くない? というか、私の手、痺れているんだけど。ただの投擲のくせして、なんて馬鹿げた威力なんだ。

 だというのに、なんて速度で投擲してくるんだ。


 早く殺さなければ!


 アークエンジェルの眼がきつく吊り上がり、全身の血管が浮かび上がる。

 小石だというのに、アークエンジェルの左頬を削った。歯茎がいくつか折れ曲がり、歯が飛んだ。そして、翼がなくなった。


「ストップ」


 アストロがシキの腕を止めた。シキが小首を傾げた。


「堕ちているから。一旦ストップ」


「分かった」


 素直に石投げを止めた。


 両の翼を失ったアークエンジェルは墜落した。最近見た同胞の死体は翼に穴が開いていた、つまり、そういうことか?

 やはり、勇者は殺す!!


 アークエンジェルは身を捻り、地面に降り立った。勇者殺す。その意思を燃料にどんどん燃え上がる。

 しかし、顔を上げると、それ以上に燃える男がいた。何を燃料にしているのかは一切不明。だというのに、私以上に燃えている?


 トライデントに白い光が集まる。その武器を振るうと、刀も下りてきた。

 トライデントと刀が交わる。火花が散る。いや、これが火花なのか、相手の刀から迸る火の粉なのかが分からない。

 そのまま弾き返そうとすると、刀が入ってきた。


『あ?』


 低い声が出た。しかし、続く声が出なかった。

 二振り目が喉を切り裂いたのだ。


『わた……』


 私を倒しても仲間が倒しに来る。そう言いたかったが、喉は血でふさがれており、出てこなかった。


 アークエンジェルの振り上げようとした腕に電気伝達はなく、動いてくれなかった。






「面倒だが、これは魔王の尖兵か分かんねぇな」


「ま、ま、魔王城に近ーいのですから、ま、ま、魔王のせ、せー、尖兵では、なーいんですか?」


「魔王の種族とか、街の作り方とかが重要だな。集まってくる種族が変わってくる」


「そうね。天使なら余計にね」


「成る程」


 コストイラとアストロの説明によって、エンドローゼが納得した。


「行こう。急がなくっちゃいけない理由ができた」


「えぇ。無事である可能性が相変わらず不明ね」


「ぶ、ぶ、無事です! きっと……」


 ぷっくりと頬を膨らませて、エンドローゼが抗議してくる。

 エンドローゼがこうなのだ。きっと、フォンが何とかしてくれているのだろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ