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【完結済み】メグルユメ  作者: sugar
26.『黄昏の箱庭』
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13.山の巨人

 アレンがペタペタと壁に触る。方向が分からず、中心に向かって歩いたつまりだったのだが、いつの間にか壁際に辿り着いていた。魔眼はいまだに”壁”としか表示されない。

 何も分からない。どこに歩けばいいのか分からず、ここがどこなのかも分からない。


 アレンがキョロキョロと探す。自分はどこに向かえばがいい?


 魔眼を発動させたまま周りを窺うが、仲間も敵もいない。ただの”石”や”壁”、”水”としか分からない。

 本能で敵はいないことが理解できてしまったが、仲間がいないのは理解したくない。確定するまでは絶対諦めたくない。


「フー」


 アレンが安全そうな岩に座り、息を整える。魔眼を連続で展開しすぎて、魔力が枯渇気味だ。


 アレンは両手を眺める。左手は痺れているし、右手は火傷痕のせいで引き攣っており、うまく動いてくれない。両足が無事なのは奇跡なのかもしれない。


「フゥー」


 アレンは膝をパシンと叩くと、立ち上がった。川まで近づくと、震える手を川につけて救い上げて喉を潤す。

 アレンはすでに背をくっつきそうになっている腹に手を置いた。

 今は食べるものがない。空いている胃袋を液体で満たしている状態であるため、微妙に力が出ない。


「大丈夫。まだいける」


 凡人アレンはまだ諦めない。






『ゴォア!』


 ドデカい棍棒が振るわれる。地面にぶつかり、洞窟内が大きく揺れる。棍棒がぶつかった場所は大きく凹み、罅割れていた。

 その威力を見て、メントモールや男衆が引き気味になる。もうすでに泣きそうだ。


 当たらなければどうということはない、という精神であるコストイラは、何も心が動くことなく、刀を振るい、棍棒を持っている腕を斬った。


『グォオオオオ!!』


 痛そうにハイオーガ自身の腕を力一杯に握り、止血を試みる。それは完全な隙となっている。

 コストイラが鮫のような笑みを浮かべ、刀を振るう。


 ハイオーガの胸に罰点印の傷が生まれる。ハイオーガはズズンと仰向けに倒れ、絶命した。傷からはオレンジと黒の混じった煙が昇っている。


 一瞬で終わってしまった戦いにメントモールや男衆が目を丸くする。え、そんなに早く終わるの?


「早く行こうぜ。オレ達は街で休むって言っても、早く出ていくし、その仲間も早く寝かせたいしな」


「お、おう。そりゃそうだけどよ」


 淡々と歩き始めるコストイラに恐怖を覚える。彼等は旅人だと言った。どれ程の期間を旅に費やしてきたのだろう。きっと、魔物と戦い続ける過程で、その精神が壊れてしまったのだろう。魔術師と思しき女の左腕が失われている時点で、だいたい察してしまう。


「そういえば、この上は我々の街ではなく、別の者達がテントを張って野宿している」


「街があるのに、か?」


「あぁ、まぁ、何か探しているみたいだったぞ。何かは知らないけど」


「フゥン。関わるのは面倒そうだな」


「そう思う」


 メントモールからの提言を聞き、コストイラが面倒そうに頭を掻いた。





 爆弾魔が何者なのか。十一回も犯行がされ、だというのに犯人が捕まっていない。


 そのことが国王パルテナ・キュロス三世の耳にも届いた。

 そこで大規模な捜索が指示された。


 それから五日後。計十二回目の犯行が実行された。

 警察だけではなく、騎士まで出勤が命じられて初めて手掛かりが発見された。


 爆弾設置時の目撃者が現れたのだ。


 しかし、有益な情報であっても、特定できる情報にはなれなかった。


 身長は170㎝~180㎝、瘦せ型。目撃時刻が夜であり、暗かったため、服や色、種族ははっきりしていない。しかし、人のような見た目をしていたという証言から、有翼人ではないと判断された。

 顔には布を巻き付けていたらしく、現段階での犯人の特定は不可能だ。

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