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【完結済み】メグルユメ  作者: sugar
25.四柱一体
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12.玄冥の門

 山登りを初めてすでに1時間が経ち、小槍まで来ることができた。未だにアストロは起きていない。魔物が出てこないことは助かった。


 山頂の木々の隙間から、ティタノサウルスが現れる。


「頼む」


 アシドがアストロを背負ったまま後ろに下がる。

 コストイラとシキが前に出る。もはやいつもの光景だ。


 ティタノサウルスが右の前足を出して、啼いた。


『オオオオオオ』


 首を大きく振り、頭で殴ろうとしてくる。あわよくば噛みつこうとしていた。コストイラは下を潜り、シキは上に跳んだ。頭だけでも2mの高さはあるのに、悠々と跳んでいる。シキの跳躍力にはいつも驚かされる。


 シキは天頂の産毛を掴み、頭の上に立つ。ナイフを入れると、簡単に入った皮膚は硬いが、入れる方向さえ考えれば、簡単に割くことができる。

 コストイラが刀を振るう。皮膚の方向が間違っているためか、浅い傷しか創れていない。返す刀は違う方向から刃を振り、今度は深い傷を創った。


 足に傷ができ、ティタノサウルスが足元を睨んでくる。


 コストイラとしては嬉しい限りだ。本当なら自力で勝ちたいが、コストイラ側はチームだ。独力で勝てなかったとしても、チームで勝てれば構わない。


 上からティタノサウルスの頭が下りてきた。首にかなりの量の血管が浮き出ている。かなり耐えている証拠だ。コストイラは血管目掛けて刀を振るう。血管は簡単に切ることができた。


 ティタノサウルスの頭が上に行った。コストイラはもう首を攻撃できない。


 しかし、上にはシキがいる。シキは二振りの魔剣を振り回しながら首を下ってくる。

 顔や首、胴にかけて切り傷が伝播していき、首が半ばまで斬れ、メリメリと倒れていった。


 先頭が本当に2人だけで済んでしまった。異常な強さを見せつけられ、アレンの心はむしろ凪に突入してしまった。


 ティタノサウルスの首が千切れて、地面に落ちた。頭だけでも相当な重さがあるため、雪が一気に落ちる。

 その異常な音にエンドローゼが肩がビクリと震えた。


 積もっている雪がレイドの身長を超えた時、雪が光り出した。その光は雪山の頂点に集まりだし、雪山から離れていく。


 光は形作られていく。朱雀の時のように光から作られていくと、向こうは一番最初翼から作られていたが、今回は尻尾から生まれてきた。

 3m程、光の尾が伸び、先端が顔の形になっていく。蛇のような顔だ。楕円の形の光は鰭が生まれ、甲羅が出来上がり、亀の姿になる。


 北方の守護者、玄武が誕生した。


『オオオオ!!』


 叫ぶ玄武から、唾の他に雪の欠片も飛ぶ。

 勇者一行が雪から目を守るように腕で顔を覆う。


 アシドは腕を動かせないため、顔を背けてやり過ごそうする。


 コストイラが目を細めながら、ポツリと呟いた。


「何で亀の尻尾が蛇なんだ?」


 誰もそれに答えられなかった。

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