表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結済み】メグルユメ  作者: sugar
23.大空洞
429/683

18.役目を持つ戦姫

 コストイラ達は勘違いしていた。


 コストイラ達はヴァルキリーが斬るのは端だと思っていた。しかし、それなら時間稼ぎをする意味がない。


 だからこそアストロが気付いた。

 ヴァルキリーは援軍を呼ばせた。つまり、ここで倒す気であるということだ。空を飛べるのならまだしも、橋がなければヘブンズソードなどの飛べない種はこちらに来れない。


 それはヴァルキリーの持つ役目だ。


 だからこそ、崖の側を選んだ。

 崖から離れるのを許さない。橋の方に行けと言う意志を感じる。


「このまま渡るぞ」


 走ったままアシドが橋を渡り始める。


 この橋は吊り橋だ。めちゃくちゃぐらぐら揺れ始めた。高所恐怖症な2人が橋に乗るのを躊躇している。


 レイドがエンドローゼを脇に抱え、アレンはシキに抱えられた。エンドローゼをアレンも恐怖から抱き着く力を強めた。

 レイドは守るように背を丸める。シキは膝の力が抜け、崩れそうになった。恐怖で更に抱き着く。


 シキはさっさと手放すために、大きく跳んだ。ヴァルキリーはそこを狙って剣を振るう。


 シキが咄嗟にナイフを抜く。どっちの魔剣か分からないが、魔力を流して振るった。


 剣とナイフが交わる。剣の威力によって、橋の向こう側にまで辿り着いた。


 ヴァルキリーの両腕に斬撃が伝播する。


『ぐ!?』


 その隙にコストイラとアシドが渡り切る。


 ヴァルキリーは血が出るのも厭わず、剣を振るう。今度こそ狙いは橋だ。


 吊り橋の片側がなくなり、一気に落ちていく。アストロとレイドが縄を掴む。少し下に落ちていき、手の皮が剥けた。

 アシドが何とか手を伸ばし、アストロの手首を掴む。アストロを引き上げることに成功したが、レイドにまで手が届かない。


 ヴァルキリーが血の吹き出す腕を無視して、レイドを狙って剣を振るう。レイドの左手は縄、右手にはエンドローゼ。ヴァルキリーの一撃を防ぐ手立てはない。


 上からシキが降ってきた。強烈な踵落としが繰り出される。速度的にヴァルキリーはもう避けられない。

 剣で防ごうとするが、剣が砕けた。その勢いを利用して上へ向かっていく。そのままレイドをキャッチして、崖を上る。

 ヴァルキリーが剣を手放した。もう腕がボロボロでかつ剣も粉々だ。


 しかし、援軍が来ていない。まだ時間稼ぎが必要だ。


 純白の翼をはばたかせ、空へと舞い戻る。純白の翼に光を纏わせて、勇者一行に向かう。


 ヴァルキリーは前転して足を向けると、そのままドリルのように回転し始めた。


 慌てて散り散りになって躱す。


 ヴァルキリーが地面を抉りながら着地し、血だらけの腕を振り回す。自身の腕にかなりの負荷をかけながら振り回すが、勇者一行には当たらず、木を薙ぎ倒す程度にとどまった。


 誰も挑んでこないのは有り難い。それだけ時間が稼げているということだからだ。しかし、気を付けなければいけないのは、仕留めきれずに逃がしてしまうことだ。


『ビーディアム様!』


 援軍がやってきた。”世話焼き”最高戦力のアダマンタイト部隊だ。

 ヴァルキリーは幾何かの安堵を得た。それは警戒を怠ることに繋がった。


 上からレイドが落ちてきていることに気付かなかった。処刑場の断頭台のように、刃が振り下ろされた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ