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【完結済み】メグルユメ  作者: sugar
23.大空洞
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10.天上の英霊

 蜃気楼の街、ミラージュ。この町の食糧自給率は273%を記録しているモンスターシティだ。およそカナダと同じである。食料自給率が高ければ、交易によって財を手にすることができる。

 その財は街の衛兵が所持する武力に当てられ、強化されている。


 耕地も労働力もまだあることから、食料自給力はまだ上げられるという、やはりモンスターシティだ。


 そんな地域を他の貴族達の領が気にしない筈がない。そして、決まって狙ってくる貴族は厭らしい輩ばかりだ。


 最初のうちは優しそうな顔をして、一見好条件な取引をしてくる。しかし、それが詐欺だと判明された瞬間、化けの皮が剥がれ、脅迫を仕掛けてくる。

 それらの対処のために、武力の強化は必要だ。


 すべての采配を成功に修めた町長テルットは、結果、命が狙われることになった。


「あぁ、護ってくれよ。私の兵士達よ」


 テルットは執務室で、自分の肩を抱いて、蹲った。






「うし、頂上。この先が街か。ん?」


 コストイラが坂を上り切った時、目の前には衛兵がいた。5人の衛兵が足を止め、コストイラのことを見ている。

 衛兵達は衛兵と言われて思い浮かぶ格好していなかった。全員が上半身裸で、腰元はスパッツと布だけであった。頭には兜、足元にはサンダル。背中側を隠すような紺のマントに薙刀。コストイラの中には冒険者か山賊という選択肢しかなかった。


『何者だ?』


『分からんが武装している』


『敵か?』


『敵だろう』


『敵に違いない』


 ボソボソと話し合っているが、会話が聞こえている。不穏な方向に進んでいる。


「ふぃ~~。の、登り切りましたぁ~~」


『オツカレ』


 エンドローゼが追い付く。その瞬間、目の色が変わった。オレンジから赤に。


『『『『『魔王!』』』』』


 薙刀を振りかぶりながら跳んだ。コストイラは目を丸くしながら刀を抜く。


 コストイラの高い実力があれば、多少の犠牲は出るかもしれないが、1対5でも勝てるだろう。しかし、5人の狙いは明らかにコストイラの後ろにいる人物だ。コストイラは3人の足止めに成功するが、2人に抜けられてしまう。


「くっ!」


 一糸乱れぬ連続攻撃を前に、コストイラはエンドローゼを助けにいけない。2人の衛兵が薙刀を振るう。


 ガキン!


『ヌ!』


『ム?』


「よく分からんが、貴様等は敵だな?」


 踏破したレイドがエンドローゼの楯となる。レイドがいれば問題ない。コストイラは前の3人に集中することにした。


 隙をついて、衛兵の1人を切る。傷は浅いが、ひるんでくれると思った。しかし、衛兵から血が出てこなかった。そして、そのまま突っ込んでくる。

 驚いたことで1歩動くのが遅れた。薙刀の刃先が頬を掠める。二振り目の刃には、刀を合わせることに成功する。

 その瞬間、暴風が吹き荒れた。剝がされる前に手首だけで刀を振るう。衛兵の1人の顔を割った。


 回転する視界の中で、衛兵の割れた頭から何かが出るのが見えた。


 着地した時、衛兵の1人が倒れていた。微動だにしないその姿から、絶命していることが分かった。出てきた何かは魂か?


 もう一発、突風が出た。コストイラの前髪が舞い上がる。その前髪が戻る前にシキが登場した。

 超速で衛兵のえらを掴み、首を刈った。その頭をもう一人の衛兵にぶつけ、両方を粉微塵にした。


「過~激~」


 コストイラは茫然として、無意識に言葉を発した。


 シキは敵と認識したら容赦しない、スーパー過激DXちゃんなのをコストイラは思い出した。


『街』


 エンドローゼに背負われる少女は、指で指し示す。そこには、綺麗な楼閣を持った塀があった。街を囲う防衛の要なのだろう。

 勇者一行は魔物を連れて、入場した。

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